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日産初代「シルビア」に試乗! ポルシェ特許のMTはシフトフィールが感動モノでした【旧車はエンドレス_01】

日産初代「シルビア」に試乗! ポルシェ特許のMTはシフトフィールが感動モノでした【旧車はエンドレス_01】

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TEXT: 片岡英明  PHOTO: 宮越孝政/ENDLESS

オリジナルを重視しつつ現代の技術も盛り込みレストア

エンドレスが所蔵する1965年式シルビアは、新車と見紛うばかりにピカピカにレストアされている。50年以上も前に生産され、長く放置されていたためスクラップに近い状態だった。だが、フレーム構造だったことが幸いし、丁寧な鈑金や継ぎはぎなどを駆使してボディもフレームも新車のように仕上げ、甦らせている。また、安心感のある走りを実現するために、現代の技術も随所に盛り込んだ。

シルビアのフロントブレーキは、住友電工製のダンロップ・マークIIディスクブレーキである。ベースはオリジナルのままだが、エンドレス製のスポーツパッドを組み込み、リアのL&Tドラムブレーキのシューも自社製に変更した。一緒に純正の鉄ホイールとキャップもリペアしたが、試乗車に装着されていたのはENKEI製のアルミホイールだ。このホイールはもう1台のシルビアを引き取ったときに装着されていた当時物のアルミホイールである。これをリペアして装着した。

サスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーンにコイルスプリング、リアはリーフスプリングによるリジッドアクスルだ。コイルスプリングなどはエンドレスでオーバーホールして組み直した。R型エンジンはオーバーホールを施し、オリジナルと同じSUタイプのキャブレターを2基装着している。圧縮比は9.0で、最高出力90ps/6000rpm、最大トルク13.5kgm/4000rpmのスペックだ。トランスミッションはポルシェシンクロ(ポルシェが特許を取得していたセルフサーボのシンクロ機構)の4速MT。カタログに記載の最高速度は165km/h、0-400m加速はクラス最速の17.9秒だった。

秀逸なシフトフィールと一体感あるハンドリングを満喫できる

標高1200mを超える高地での試乗だったが、シルビアは水を得た魚のように小気味よい走りを披露している。スタータースイッチを回すと快音を響かせて瞬時に目覚めた。アイドリングは安定しているが、ちょっとした息継ぎが生き物のように感じられ、愛らしい。980kgの軽量ボディに加え、クロスレシオの4速ミッションだから暖気が済んでからの加速は軽やかだ。スロットルワークでエンジンのご機嫌を取るのもキャブレターならではの魅力である。

ポルシェシンクロの4速ミッションは、バターに温めたナイフを入れたときの感覚と言われるほど、独特のシフトフィールだが、感動モノの仕上がりだった。どのギアなのか分からないグニャッとした感覚のクルマが多いが、このシルビアのシフトフィールは秀逸だ。ダブルクラッチを使って回転を合わせると、クッと気持ちよくシフトレバーが吸い込まれていく。クラッチの踏力は「フェアレディ2000」ほど重くなく、手応えもあるから操る楽しさは格別だった。

一体感のあるハンドリングも魅力のひとつに挙げられる。フレーム構造に加え、フェアレディと違ってクローズドボディのため、ねじり剛性などが高いのだろう。ステアリングギアはカム&レバー式だ。ウォームギアだから切り込んでいったときに遊びがあり、応答性も鋭くはないが、敏感すぎない安心感がある。ハンドリングは当時のスポーツモデルの中では素直な部類だし、コントローラブルだ。さすがに荒れた路面ではリアのグリップが失われるし、段差の乗り越えも苦手と感じる場面もあった。だが、操っている感覚が強く、運転するのが楽しい。

さすがだな、と思ったのはブレーキの減速フィーリングだ。強化されたパッドとシューのおかげで安心してブレーキを踏めるし、当時の新車より制動距離も短くなっている。低速から高速まで、コントロールできる領域が広いのもいい。

新車のシルビアの車両価格は、当時としては驚くほど高額で、セドリックを超える120万円だった。おいそれとは買えないし、乗れない高級スポーツクーペだったから生産台数は554台にとどまっている。久しぶりにステアリングを握り、若返った気分だ。

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