今回も鈴鹿サーキットで新たなパラモトライダーを誕生
バイク事故などで身体に障害を負って もうバイクに乗れないと諦めていた方へ、再びバイクに乗るという楽しみを体験してもらいたいと、一般社団法人サイドスタンドプロジェクト(SSP)が2020年から活動を展開している「パラモトライダー体験走行会」。毎回多くのボランティアスタッフと、バイクに乗ってみたいという障がい者が参加する走行会だが、鈴鹿サーキットでは3回目となる体験走行会が2023年7月10日(日)に開催となった。
マンツーマンで徹底指導
伝説のライダーとして、バイクファンにはおなじみの青木三兄弟の次男、拓磨選手。1998年にGPマシンのテスト中の事故によって脊髄を損傷し、車いす生活を余儀なくされている。その拓磨選手に「もう一度バイクに乗ってもらいたい」と行われた『Takuma Ride Again』で実際に走りを披露してから4年の月日が流れた。
青木三兄弟が起こしたアクションを一般の障がい者にも、と活動がスタートしたSSP(代表理事は青木三兄弟の三男・治親が務めている)が行っている「パラモトライダー体験走行会」は、すでに延べ100名以上のパラモトライダーを輩出し、今回も鈴鹿サーキットで新たなパラモトライダーを誕生させている。
その内容は、障がい者のそれぞれの状況を確認し、バイクに乗るには何があればよいのかをSSP側が準備し、バイクでの走行を体験してもらうというもの。
たとえば下半身不随の場合、バイクの操作では右足で行うリアのブレーキ、左足で行うシフト操作ができないが、それを補うためにアクチュエーターでシフトを操作するハンドドライブユニットをバイクに組み込み、手元に操作スイッチを備えることで、ギアチェンジを可能とする。
また、下半身を固定できないことについては自転車でも使われているビンディングでバイクのステップとブーツを固定する。視覚障害があれば、ヘルメットに通信ユニットを組み込み、外から方向を指示するといった具合だ。
車いすからバイクへの移乗はもちろん、バイクの発進や停止といったバイクが不安定になるタイミングについてはボランティアスタッフがバイクを支えてカバーする。また、体験走行会については、バイクはもちろん、ヘルメット、グローブ、ブーツ、そしてレーシングスーツまでライダーの安全装備もすべてSSP側が用意する。