速度違反の取り締まりがますます厳しくなっている?
今回、約2週間にわたるフランス取材ではルノーから2台のクルマを借用し、あわせて4000km以上を走破した。うちル・マン・クラシックの週末4日間がホテルとサーキットの往復のみだったため、実質10日間で4000kmとハードで楽しい取材行となった。両車のインプレッションは別の機会に譲るとして、まずは前半に1400km余りを走ったルノー「クリオ」での、取材日記を紹介することにしよう。
空港の混雑でスケジュールを急遽変更
パリのシャルル・ド・ゴール空港には定刻より少し遅れるだけの午前8時過ぎに到着したものの、イミグレーションが大混雑。当初の予定ではルノー「クリオ(日本国内での車名はルーテシア)」を午前中に借り出してランス自動車博物館を訪ねる予定にしていたのだけれど、イミグレーションを抜けるときには午前10時を回っていて、午前中の借り出しは無理そう。ということで急遽、取材行初日のこの日は、翌日の取材に備えてプジョー歴史博物館のあるソショーの近くまで移動することにした。
移動途中のサービスエリアでその夜の宿を手配しながら、スケジュールを組み替えたが、これは予約に縛られない一人旅の特権。途中、ディジョン・プレノワ・サーキットに立ち寄る。高校生の頃に専門誌を読んで憧れていて、クラシカルなサーキットを期待して訪ねたのだけれど、当然と言えば当然だが随分モダンな佇まい。守衛所の前で記念撮影をしただけですぐにホテルへと向かい、チェックインした後は爆睡してしまった。
フランスのオートルート(高速道路)は、基本的には有料で、入口でチケットを受け取って出口で精算するスタイルと、料金所で定額を支払うスタイルが混在している。ETCのシステムも導入されているのだけれど、エトランゼには縁がなく、入り口でチケットを受け取り出口で料金を支払って領収書を受け取ったり、定額料金を支払って領収書を受け取ったり、を繰り返すことになった。
支払いは現金でもクレジットカードでもOK。唯一の難点(?)は、現金の投入口やつり銭の出口、クレジットカードの挿入口やレシートの出口が遠いこと。借り物の広報車だからと、ぎりぎりまでクルマを寄せるには遠慮もあったが、手を伸ばしても届かずに、シートベルトを外して窓から上半身を乗り出すようにしたり、時には窓だけでなくドアを開けて身体を乗り出したりと、無様な格好を繰り返すことになった。それでも感心したのは、後ろに並んだクルマのドライバーが、誰一人としてクラクションを鳴らして追い立てなかったこと。
もうひとつ、フランスのオートルートの優れたところはパーキングエリアが充実していること。ゆったりとしたスペースが設けられ、当然ながらトイレも完備されており、長距離バスのトイレ休憩にも十分対応していること。
また通常の駐車スペースに加えてまるでオートキャンプ場のようなエリアが併設されているパーキングエリアも多く、クルマを駐めて脇にあるテーブルで、お弁当を広げる老夫婦も見かけた。テントを張っていいかは不明……おそらく駄目だろうけれども、そんなことを思わず考えてしまうような、ゆったりとしたエリアだった。ちなみに、洗濯物を干して休憩しているトラックドライバーも見かけた。
速攻取材を続け、結果的にスケジュールをすべて消化
パリに到着したその日にランス自動車博物館を訪れるという当初のスケジュールは、シャルル・ド・ゴール空港でのイミグレーションの混雑によって変更を余儀なくされた。だが、2日目と3日目で、それぞれ1日かけて訪れる予定としていたプジョー歴史博物館とミュルーズ国立自動車博物館、いわゆる「シュルンプ・コレクション」を1日で巡り終えることができ、3日目には今回初めて訪れるオートスポーツ博物館を取材。4日目には初日にお預けとなっていたランス自動車博物館を取材できた。
これで当初のスケジュール通り取材博物館の館数(軒数?)をこなすことに。オートスポーツ博物館以外はこれまでに複数回も訪れていたため、記憶を辿りながら前回から変更になった部分を探り出しての取材となり、結果的にこれまでほど時間がかからなかったのが大きな理由。
これも限られた時間で数多くの博物館を訪れる「倹約取材」では仕方ないところだが、引退したらどこかの博物館で気になるクルマ、例えば今回の取材行でいうなら後半部分、マノワール博物館やルマン・サーキット博物館で出会ったアルピーヌ ルノーA210の、テールフィンを一日中眺めるような博物館巡りをしてみたいものだ。
前半部分でフランスのオートルートではパーキングエリアが素晴らしいことを紹介したが、ちょっと気が重くなるようなことにも触れておこう。それは速度違反の取り締まりがますます厳しくなってきたように感じたこと。
高速道路でも130km/hから110km/h、90km/hと制限速度が頻繁に変わるのだが、一般道ではもっと極端で、90km/hで走ってきて集落があるところではいきなり30km/hになり、集落を抜けたらまたすぐに90km/hに戻ることの繰り返しとなる。
そして数多くのカメラが設置されていて、数年前に訪れた時に比べて、その台数は明らかに増えていたように感じてしまった。もちろん制限速度は順守しないといけないのだが、うまくリズムに乗ることができず、戸惑ってしまう取材行となった。