キャビンフォワードへとプロポーションを一新
このZ32では、4代目にしてそれまでのロングノーズ&ショートデッキから、キャビンフォワードへとプロポーションを一新。2シーターを例に挙げると全長を95mm短くしたうえでホイールベースは130mm長く、相対的にオーバーハングは前で-40mm、後ろで-185mmも短縮。全幅は+65mm、全高は−45mmといった具合で、Z31までとはディメンションが大きく変わったのが注目だった。
なおボディタイプはそれまでどおり2シーターと2by2が用意されたが、両車の外観上のデザインの差異が小さいのも特徴。わかりやすい識別点は、左リアフェンダーの給油口がホイールハウスの前にあるのが2シーター、後ろにあるのが2by2。ほかに60度超スラントヘッドライトの採用も90年代をリードするスポーツカーのスタイルの実現に貢献し、このライトユニットは後にランボルギーニ「ディアブロ」にも採用された。
ヒップポイントが42mm下げられたというインテリアは、インパネ下部からセンターコンソールの側面までジャージ貼りとするなどし、これは乗員とクルマとの一体感を出す役割。ドア後部にはドアタワーが設けられ、ドアガラスの支持剛性を高めるとともに、ここにシートベルトを取り付ける構造が採られていた。そして、エンジンキーはチタン製だった。
30年過ぎてもなお根強く愛されているスポーツカー
搭載エンジンは前後長の短いV6のVG30DE型(230ps/27.8kgm)とVG30DETT型(280ps/39.6kgm)を設定。いずれも左右独立2系統の吸排気システムをはじめ、VG30DETTでは、ツインインタークーラー、ツインスロットル、ツインインテークコレクター、ツインターボ、ツインエキゾースト&マフラー方式などを採用した。サスペンションは4輪マルチリンク式とし、2段絞りバルブ構造のショックアブソーバー、SUPER HICASも採用された。
そのほか、1992年8月にはコンバーチブルが登場した。このモデルはトランクリッド、幌収納用ストレージリッドと幌のリンクをアルミ製として軽量化。シートベルトはドア側ではなくボディ側(ロールバー裏側)に備えられた。
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コーンシェイプ(とうもろこしの粒のように角の取れた滑らかな形状のボディ断面のこと)の先進的かつ独創的なフォルムのZ32はいまだに根強い人気をもつ。すでに登場から30年以上が経つが、一時期、時代がかった見え方をしたようにも思えたものの、いまは「一周回った感じ」で、再びステキなスポーツカーに思えるようになった気がするのだが、いかがだろうか。