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2億1400万円のチェコ製ハイパーカー「ボヘマ」とは?「R35 GT-R」用エンジンを700馬力にチューンして搭載

チェコ製ハイパーカーのプラガ ボヘマ

キーワードは「軽量」「カーボン」「ガソリン」

チェコのハイパーカー・メーカー、プラガが、完全新設計によるニューモデルの「ボヘマ(BOHEMA)」を初公開したのは、2022年のことだった。そのコンセプトは公道をも走行可能なプロトタイプ仕様のレースカー。高性能と美しさを兼ね備えたこのモデルは、「軽量」、「カーボン」、「ガソリン」を3つのキーワードとして、89台が限定生産されることも発表された。

チェコの老舗自動車メーカーが送り出す最新ハイパーカー

このように紹介すると、このプラガも最近続々と誕生するハイパーカー・メーカーのニューフェイスのように思われるかもしれないが、じつはその歴史は長い。始まりは19世紀後半、重工業メーカーとして誕生したことにあり、20世紀に入ると自動車生産をビジネスのメインに移行。自動車を初めて発売したのは1907年のことで、以後乗用車のほかに商用車やオートバイ、バス、航空機などの生産を行ってきた。その全盛期は1930年代で、1933年には「プラガ・アルファ」が1000マイル・ロードレースで優勝。ボヘマのプロトタイプが発表されたのが、それから89年後の2022年だったことから、限定生産数は89台とされた。

プラガがボヘマのスタイリングで大きなコンセプトとしたのは、他社のモデルにはない希少で独創的なスタイル。公道を走ってサーキットに到着し、そのままサーキット走行を楽しみ、それが終われば再びそのまま帰路につくことができるハイパーカー。そのアイデアに向けて公道での穏やかな乗り心地と、サーキットでの高いポテンシャルを実現するために最も重要なポイントは、F1チームの持つ施設で行われた風洞実験にあったという。

参考までにこのボヘマのモノコックとボディはカーボンで成型されており、実際に得られるダウンフォースは250km/h時に900kg以上。どんなサーキットでも最高速は300km/hを超えることが可能だとプラガはその性能を主張する。

重量に対してのこだわりも相当なものだ。プラガが開発時に設定した目標重量は1000kg未満。その数値を可能にするため、カーボンファイバー、マグネシウム合金、チタン等の軽量素材を積極的に用い、たとえば2人乗りのキャビンは56個のカーボンパーツで構成され、さらに上質なレザーとアルカンターラで仕上げていながら、その重量はわずかに34kgを目標としているというから驚く。

日産GT-Rの3.8リッターV6をチューニングして搭載

シャシーはもちろん独立懸架式で、プッシュロッドで作動するアジャスタブルダンパーを水平方向にレイアウト。最大限のトラベル量を確保するとともに車高を最低限に抑えている。バネ下重量もわずかに180kgという数字だ。センターロックのホイールは、フロントが18インチ、リアは19インチ。これは前後とも18インチの設定に変更できるため、FIA GT3の規定に基づく、さまざまなタイヤの選択が可能になるのも大きな魅力だ。ブレーキは380mm径のカーボンセラミックディスクと6ピストンキャリパーの組み合わせと、こちらも万全の備えとなる。

リアミッドに搭載されるエンジンは、日産「GT-R」に搭載されている3.8LのV型6気筒ツインターボエンジンをベースに、プラガと長年の協力関係にあるイギリスのリッチフィールド・エンジニアリング社がチューニングを担当した、PL38GETT型。潤滑方式がドライサンプへと変更されたため、エンジン自体のサイズは高さで140mmコンパクトになり、搭載位置を低く設定することができた。

最高出力は700psを達成し、最大トルクも725Nmを発揮することに成功。トランスミッションはヒューランド製のシーケンシャル・ギアボックスとなる。特徴的なのはパワーユニットがカーボンモノコックからやや離れた位置に搭載されていることで、これはやはり公道走行時の快適性を高めるための策。エグゾーストの音量が抑え気味であるのも同様の理由だ。

89台限定、価格は2億1400万円

ボヘマは現在も、プラガのホームグラウンドともいえるチェコのスロバキアリング・サーキットで最終的なテストを繰り返しているが、実際の生産は8月に始まり、12月には最初のカスタマーへとデリバリーが行われる予定だという。そして2024年上半期にはさらに6台を目標に、下半期には毎月2台をデリバリーする計画。最後の2台のボヘマ、つまり88号車と89号車は2027年に完成予定で、それぞれ台湾とアメリカのカスタマーからオーダーを受けているとのこと。

参考までに価格は136万ユーロ(約2億1400万円、消費税抜)。左ハンドルと右ハンドルの選択が可能であるのもカスタマーには嬉しいところだ。

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