70年代の国産車で唯一無二! 大胆なダックテールデザイン
三菱自動車として個性的なデザインを採用した4ドア&2ドアハードトップボディの「コルト ギャラン」。さらにスタイリッシュに昇華させ、よりスポーティなファストバッククーペが「ギャランGTO」だ。当時人気のアメ車のデザインにも似たダックテールフォルムに、パワフルなDOHCエンジンも搭載。まさに日本を代表するスペシャリティカーの1台と言えよう。
GTOの名に恥じない華麗なグランツーリスモ
1960年代半ば、自動車業界には輸入自由化の波が吹き荒れた。三菱重工業も生き残るための対応をするため1970年4月に自動車部門を分離・独立させ、新会社を設立した。それが三菱自動車工業だ。それに先立ち、主力モデルのパワーユニットやデザインを変える自動車部門の大改革に乗り出している。
この時期の主力モデルは「コルト」。メカニズムの信頼性は高かったが、エクステリアにもインテリアにも色気や個性はない。そこでデザイン改革を行い、車名もコルト ギャランに変更。エクステリアは、ダイナウエッジラインと呼ぶウエッジシェイプの力強いデザインの4ドアセダンで、流行のコークボトルラインを採用し、躍動感を演出した。
コルト ギャランは1969年12月の正式発売を前に、東京モーターショーでベールを脱いだ。その隣に参考出品の形で展示されていたのが、このコルト ギャランをベースに開発したスタイリッシュなファストバッククーペ「ギャランクーペGTX‒1」だ。新開発の1.6L直列4気筒DOHCユニットを積んでいた。
コルト ギャランは、翌1970年春に2ドアハードトップを追加している。そして10月、ショーで話題をさらった真打ちのスペシャルティカー「ギャランGTO」を正式発表する。躍動感あふれるウエッジシェイプにファストバックを組み合わせ、フロントマスクも凛々しい。テールエンドを大胆にカットしたダックテールがセクシーだった。キャッチフレーズは「ヒップアップクーペ」だ。
フェラーリなどでお馴染みの「GTO」とは、イタリア語の「GRANDE TOURISMO OMOLOGARE」の頭文字を並べたもので、公認された正統派のグランツーリスモという意味。エクステリアも当時、アメリカで大人気だった「マスタング」や「カマロ」などのマッスルカーを意識した目立つデザインを採用した。
エクステリアは、参考出品したGTX‒1に限りなく近いが、フロントグリルに組み込まれていた角形のフォグとスポットランプは省かれた。フロントマスクだけでなくリアビューも押しの強いデザインとなっている。同時期に登場した「セリカ」のようにハードトップとは言っていない。だが、サイドビューはセンターピラーレスのフルオープンウインドウとなっている。