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三菱が日本で初めて「GTO」を名乗った!「ギャランGTO MR」はわずか2年で販売打ち切りになった幻のクルマでした【国産名車グラフィティ】

三菱が日本で初めて「GTO」を名乗った!「ギャランGTO MR」はわずか2年で販売打ち切りになった幻のクルマでした【国産名車グラフィティ】

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TEXT: 片岡英明  PHOTO: 芝 修/増田貴広

パワフルな直4 DOHCを搭載したMRは排ガス規制でわずか2年で終焉

コルト ギャランが搭載するのは、三菱初の直列4気筒SOHCエンジンで、5ベアリング支持、クロスフロー、半球形燃焼室を備えている。デビュー時は1.3Lと1.5Lが用意され、1500GSはSUツインキャブレター仕様だ。扱いやすいロングストローク設計だが、高回転まで気持ちよく回り、乾いたエンジン音もスポーティだった。

ギャランGTOは、このエンジンのボアを2.5mm広げ、排気量を1597ccに拡大した4G32型エンジンを積む。4G32型はサターンエンジンのニックネームで呼ばれ、ムード派のシングルキャブ仕様はMI、SUツインキャブ仕様にはMIIのグレード名が与えられている。トランスミッションは4速MTだ。

フラッグシップのMRは、1カ月遅れで販売を開始した。エンジン型式は4G32のままだが、ヘッド部分をDOHC化し、カムカバーはゴールドに塗装されていた。この新開発エンジンに三国製ソレックスの40PHHキャブレターを2連装し、高性能化を図った。

MRは「三菱フォーミュラの伝説が生んだマニア向きのホットマシン」とカタログにうたい、高性能を誇示している。最高出力はクラストップレベルの125ps/6800rpm、最大トルクは14.5kgm/5000rpmだ。GTOのなかで唯一5速MTを組み合わせ、最高速度は200km/hをマーク。ゼロヨン加速も16.3秒の俊足を誇った。

サスペンションはギャランと同じ形式で、フロントはストラットにコイルスプリング、リアは平凡なリーフスプリングによるリジッドアクスルだ。が、MRはサスペンションを締め上げ、リアにはトルクロッドを追加した。4輪独立懸架ではないが、走らせてみると驚くほどコントローラブルだった。

ブレーキはフロントがディスク、リアはリーディングトレーリング。踏力を軽減するマスターバックを装備し、プレッシャーコントロールバルブも装備されていた。車両重量は960kgと軽量だから制動性能に不満はなく、急制動でも姿勢は乱れにくい。このMRは排ガス規制に飲み込まれ、わずか2年で販売を打ち切っている。

ドライバーの気持ちを高揚させるフライトコクピットデザイン

ギャランGTOの見どころのひとつがスポーツライクなインテリアだ。ドライバーの前には航空機の操縦席のように多くのメーターが並べられ、ドライバー側に向けられている。これが「フライトコクピット」と名付けた逆L字型インパネで、警告灯を内蔵したオーバーヘッドコンソールも心をときめかせた。

ドライバーの前には220km/h表示のスピードメーターと8000rpmまで目盛られたタコメーターが並ぶ。その両側に補助メーターを配置し、センターコンソールにも油圧計と油温計を組み込んだ。前席にはヘッドレストと一体になったハイバックシートを装備している。

1972年2月、ギャランシリーズが排気量を1.6Lに拡大し、4G32型エンジンを搭載した。そこでGTOはMRだけを残し、17Xシリーズへと移行する。搭載するのは、ボアを広げ、排気量を1686ccとした4G35型直列4気筒SOHCだ。X Iと高性能版のX IIが用意され、4灯式リアコンビネーションランプはレッドとイエローの2色配置となった。

1973年1月のマイナーチェンジではイメージリーダーのMRがカタログから落とされている。代わって主役の座に就いたのが、ショーカーのR73‒Xを思わせる2000GS‒Rだ。4輪にリベット留めのオーバーフェンダーを装着し、タイヤは当時としてはワイドな175/70HR13を履かせている。パワーステアリングがない時代だったため低速での操舵には汗をかいたが、これを乗りこなすのも楽しみのひとつだった。

新しいフロントマスクは4灯式ヘッドライトとグリルが一体になった立体的な造形だ。リアコンビネーションランプはR73‒Xと似た5連の華やかなデザインになっている。心臓はアストロンのニックネームで呼ばれた4G52型直列4気筒SOHCで、排気量は1995ccだ。これをツインキャブ化して、排ガス対策を強化した最終型では、バランサーシャフト付きアストロン80に進化させた。

1976年に生産を終えるまでにGTOは10万台に迫る生産を記録し、三菱のイメージアップに大きく貢献した。また、輸出も好調だったから、海外にも熱狂的なファンが存在する。

ギャランGTO MR(A53C)
・年式:1970年
・全長×全幅×全高:4125mm×1580mm×1310mm
・ホイールベース:2420mm
・車両重量:1255kg
・エンジン:4G32型直列4気筒DOHC
・総排気量:1597cc
・最高出力:125ps/6800rpm
・最大トルク:14.5kgm/5000rpm 
・変速機:5速MT
・サスペンション(F/R)ストラット/リジッド・リーフスプリング 
・ブレーキ(F/R)ディスク/リーディングトレーリング
・タイヤ:165SR13

■「国産名車グラフィティ」記事一覧はこちら

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