戦後も少しだけ注目されるも、歴史の波に消えてしまった
ボディにはドアが見当たらず、当時の画像を見ると乗員はサイドの窓から乗り降りしているようだ。ボディ後半左右の開口部の奥にはラジエターが設置されている。
このノーベル・ストリームライナーは前出の『コンソリデーター』誌以外にも、さまざまな雑誌の記事に取り上げられた。第二次世界大戦を挟んで終戦の翌年、1946年には科学技術雑誌『ポピュラー・メカニクス(POPULAR MECHANICS)』でも紹介され、全国的に知られるようになった。
しかし多くの文献が残されている他の類似コンセプトカーとは異なり、このノーベル・ストリームライナーの製作者がどういった意図でこのクルマを制作したのか、何を目指していたのか、今となっては判然としない。
科学技術の発達が必ずしも全ての人類を等しく幸せにするとは限らず、むしろ地球環境にとってはマイナスの側面があることすら知られてきた昨今では、「科学の進歩だけが全ての問題を解決する」と無邪気に信じる人もいないだろう。しかし、かつては確かに科学技術に対する牧歌的な信頼もあったことを思い起こさせてくれる「流線形」の時代。そして、そんな時代の徒花とも言えるノーベル・ストリームライナーではある。
* * *
ちなみに今回ご紹介したミニカーはAuto Cult(オートカルト)というドイツのブランドからリリースされている1/43スケールのレジン(樹脂)製モデルだ。同社からは他にも知られざる名車(迷車?)の数々が模型化されているので、気になる向きはぜひそちらもチェックされたし。
■Auto Cult(オートカルト)1/43
車名:HOPPE & STREUR NORVELL STREAMLINER(USA, 1946)
型番:04038(品切れ)
問い合わせ:国際貿易 https://www.kokusaiboeki.co.jp