ルート66の旅には欠かせないモーテル
広大なアメリカを東西2347マイル(3755km)にわたって結ぶ旧国道「ルート66」をこれまで5回往復した経験をもつ筆者が、ルート66の魅力を紹介しながらバーチャル・トリップへご案内。今回は、クルマでアメリカを旅するうえで欠かせない宿の定番、「モーテル」とは何か、そして選び方のコツを紹介します。
多彩なモーテルが全米に無数に存在
イリノイ州シカゴを出発したルート66の旅はミズーリ州へ。淡々と旧道をトレースするだけなら1日で走破できる距離だが、ミュージアムに立ち寄ったり風景を撮影しながらの移動だと、イリノイ州を抜けるまで2泊または3泊が必要と思われる。アメリカの旅に関して治安と同じくらい質問されるのが、宿はどのタイミングでどうやって決めているのかだ。
ルート66に限らず私がアメリカを旅するとき、出国前に予約するのは航空券とレンタカーだけ。あらかじめスケジュールを組めば安心かもしれないが、個人旅行の醍醐味である自由さがスポイルされてしまう。ルート66は思いがけない風景や人との出会いが多く、予定どおりに進まないのが面白さのひとつでもある。また疲労や体調不良で早めに宿で休みたい、なんて日も長く旅を続けていれば必ずある。そのため私はごく稀なケースを除き、予約なしで飛び込むことがほとんど。
そんな気ままな旅を許容してくれるのが、アメリカ全土に存在する「モーテル」だ。MOTORとHOTELを組み合わせた単語で、クルマで移動する人に向けたホテルを指す。特徴は客室のすぐ前に駐車場があり、1階建てもしくは2階建てが大半。ホテルに比べてリーズナブルで基本的に予約も不要と、気ままなクルマの旅には最適といえるシステムなのだ。
泊まること自体が目的になる名モーテルも
ルート66沿いには全国チェーンから個人経営まで、まさに数え切れないほどのモーテルが存在しており、宿そのものが外せない名所となっているケースも。低料金だからといってドミトリーだったり設備が簡素なわけではなく、個室は当然として大きめのベッドはもちろん冷蔵庫にコーヒーメーカー、電子レンジまで備えているモーテルも少なくない。バスとトイレが共同なんてのは一度も経験がなく、簡単な朝食がセットになっていることも多々ある。
空きがあるかはフロントで尋ねてもいいし、屋外のネオンサインで判断してもいい。ルート66も舞台となった1969年の映画『イージー・ライダー』で主人公らがモーテルへ着いたら、突如ネオンが「VACANCY(空室)」から「NO VACANCY(満室)」に切り替わるシーンがある。長髪のヒッピーに対する偏見から体よく宿泊を拒否されたわけだが、フロントで尋ねなくとも空き状況を判別できるのはなかなか便利だ。
なお最近は「Expedia」や「Booking.com」といった予約アプリに対応するモーテルが増えており、フロントで「今ここでアプリから予約すれば安くなるよ」と親切に教えられたこともある。その日のゴール地点が定まった時点で宿を検索し、アプリ経由で予約するのは大いにアリだと思う。