4代目コロナとして開発をスタート
1968年に登場した「コロナ マークII」はコロナの冠こそ付いているが、トヨタが初めて手がけた中型高級車。強心臓な1.9LのDOHCユニットを搭載モデルもラインナップする。しかし、エレガントなハードトップボディを持つキャラクターからか、DOHCを搭載するグレードでもトヨタで唯一「GT」とは名乗っていない。
海外市場を視野に入れたトヨタ初のアッパーミドルカー
第一次マイカーブームに沸く1960年代半ば、トヨタと日産はミドルクラスで「BC戦争」と呼ばれる熾烈な販売合戦を繰り広げていた。言うまでもなく、「コロナ」と「ブルーバード」だ。この勝負、1965年に日本初の2ドアハードトップを加えたコロナが競り勝ち、首位に立っている。
当時、トヨタは次期コロナの開発に着手した。北米へも輸出するのでデザインを洗練させ、キャビンも拡大している。また、安全対策も万全を期した。試作車はスタイリッシュで魅力的だったが、営業サイドからボディが大きすぎる、と反対意見が出され開発は止まった。だが、素性はいいので、これをコロナの上級に据え、1968年9月に発表。コロナ マークIIの誕生だ。
4ドアセダンは、コロナと同じようにスラントしたノーズにセミファストバックスタイルとしたエレガントなデザインが特徴だ。2ドアハードトップは流行のコークボトルラインを採用し、リアクォーターピラーの傾斜をコロナより寝かせて躍動感を表現した。ともにクロームメッキを効果的に使い、車格を「クラウン」に近づけている。
半年早くデビューした日産のハイオーナーカー、「ローレル」と同じクラスに位置する直接のライバルとして送り出され、トヨタでは初のアッパーミドルモデルとなった。コロナの名を冠していたこともあり、すぐに親しみを持たれている。
デビューから1年後の1969年9月、マークIIの仲間に加えられたのが1900GSSだ。グランドスポーツを意味するGSの上をいく高性能スーパースポーツで、マークIIの頂点に君臨している。また、販売を終了したトヨタ「1600GT」の後継ポジションを与えられ、その型式はRT75となった。ボディタイプはハードトップだけで、ドアの後ろに矢印のようなオーナメントを装着する。
マークIIは1971年2月に大がかりなマイナーチェンジを行い、内外装の化粧直しをしている。スラントしたフロントマスクは、グリルの中央に化粧パネルを張り、そこに縦のスリットを刻んだ個性的な造形を採用。これはイーグルマスクと呼ばれている。横長のリアコンビネーションランプは、曲率を持たせたワンテールに変更された。自慢の10R型直列4気筒DOHCエンジンは、呼称を8Rに変更。そのためGSSの型式はRT75からRT72に変わった。