ホンダの走りの象徴である「タイプR」で戦いに挑む
日本が世界に誇るGTカーレース「SUPER GT」。最高峰のGT500クラスには、トヨタ、ニッサン、ホンダの3大メーカーが参戦し、激闘を繰り広げている。2023年7月25日〜26日の2日間、岡山国際サーキットにて合同テストを開催。ホンダは2024年シーズンより投入する新型マシン「シビック タイプR-GT」のテスト車両を初披露し、走行テストに挑んだ。走行シーンなどを動画でもお届けしよう。
東京オートサロンに展示したプロトタイプからマシンを改良
ホンダはGT500クラスに、NSX-GTを投入し2023年シーズンを戦っている。しかし、市販モデルが生産終了したことに加え、2024年シーズンからマシンのレギュレーションが一新されるのに合わせ、ベースマシンも変更となった。
東京オートサロン2023の会場にて、シビック タイプR-GTのプロトタイプが披露されたが、こちらはコンセプトモデル。岡山国際サーキットに登場したマシンはコンセプトモデルとは異なるテスト仕様だ。
テスト前のメディア向け取材会においてHRC代表取締役社長の渡辺康治氏は、
「今回から、来年シーズンに向けたテストが本格的にスタートしていくということで、マシンには最初のトライアルパーツを装着しています。オートサロンで発表してから、実車サイズの風洞実験やシミュレーションを通して開発を進めてきました。ここまでは計画どおりに進んでいますが、実車の走行は今回が初めてとなるので、2日間のテストでは多くのメニューをこなす予定です。特性がNSXとかなり異なるので、タイム云々ではなくしっかりと良いポイントと、改善すべきポイントを見極めていきたいと思います」と語った。
また、車体開発責任者である徃西友宏氏は、
「現在のSUPER GTのレギュレーションで開発が可能な範囲は非常に狭いため、空力面で大きく影響を受ける車両の変更はある意味チャレンジです。ですが決してネガティブなことばかりではありません。例えばNSXは車両形状の都合上ドラッグが出やすい特性がありましたが、シビック タイプRは開発段階においてドラッグを小さくまとめることができています」とコメントした。
2日間のテストでは、トヨタはGRスープラ、ニッサンはZの2024年仕様テスト車両を持ち込み走行を重ねた。ホンダのシビックは初走行ながら、ライバルに引けを取らないタイムを記録。ドライブした山本尚貴選手、野尻智紀選手も好感触だったようだ。
ひと昔前まで、ホンダのモータースポーツ活動を支えてきたシビック。近年ではスーパー耐久に現行型のFL5シビック タイプRが2台エントリーし、熱い走りを見せている。そして、国内最高峰のカテゴリーであるSUPER GTへの挑戦。シビック タイプRの活躍をサーキットで見ることができ、長年のファンもワクワクしているのではないだろうか。
2023年シーズンのホンダ陣営は第3戦終了時点で、100号車STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)がランキング5位につけている。2020年シーズンは劇的な逆転劇でドライバーズタイトルに輝いたNSX-GTだけに、後半戦は確実にポイントを獲得して王者争いに加わること間違いなし。NSX-GTのラストイヤーを有終の美で飾れるのか期待したい。そして、2024年シーズンはシビック タイプRの激走を見られるのが楽しみだ。