BMWアルピナが贈る、最後のフルサイズSUVとは
現状では本家BMWの「X7」に「M」版の設定がなされていないことから、傍流ながらBMWファミリーにおける最上のSUVと位置づけられているBMWアルピナ「XB7」。昨2022年春に大規模なマイナーチェンジを受けた新型XB7がこの夏ついに日本上陸を果たし、われわれAMWは余すところなく取材するチャンスを得た。今回は、そのインプレッションをお届けすることにしよう。
パワースペックはそのままに環境性能を大幅に向上
BMWアルピナXB7は、BMWが初めて挑んだフルサイズのSUVモデルであるG07系X7をベースとする、現在のBMWアルピナ・ブランドのフラッグシップである。
デビュー当初のパワーユニットは、前期型X7の最高性能版であるM50iと同じくN63型4395cc V型8気筒ガソリンターボながら、最高出力はM50iの530psから91psアップにあたる621ps、最大トルクも800Nmに到達。アルピナ・スウィッチトロニック・スポーツ8速ATを介して、0-100km/h加速は4.2秒、アルピナ伝統の「巡航最高速度」では290km/hをマークするとうたわれた。
いっぽうシャシーについても、BMW X7のエアサスペンションや48V電動作動式アンチロールバーをもとに、アルピナ独自のチューニングを加えている。
さらにインテリアは、もとより豪華なBMW X7にラヴァリナ・レザーなどアルピナ流のエッセンスを加えることで、独特の世界観を体現している。とくに、フルサイズSUVがLセグメントの大型サルーンに代わって、大型SUVがショーファードリヴンにも供されるようになった現代にあって、XB7でもリアコンパートメントの快適性を追求。後席用のインフォテイメントモニターや空調システム、セパレートシートなど、多彩なオプションが展開されることになった。
そして2022年4月には、BMW X7シリーズのLCI(ライフサイクルインパルス/マイナーチェンジ)にともない、XB7もアップデート。周知のごとく、これまでのフォーマットで開発されるBMWアルピナとしては、結果として最後のフルサイズSUVとなることが決定したと見るべきだろう。
フロントマスクの意匠が上下二条のLED薄型ヘッドライトやキドニーグリルの大型化などで大幅にリニューアルされた上に、インフォテイメント系システムも最新化された。
エンジンには48Vマイルドハイブリッドシステムも組み込まれ、パワー/トルクの数値は不変ながら、環境性能は格段に向上したとされている。
今回テストドライブに供されたXB7は、もちろんLCI後のアップデート版である。そしてその走りっぷりは、BMWアルピナ最後のフルサイズSUVを名乗るに相応しいものであった。