季節ごとの点検で回避することもできる
夏場に発生しやすいクルマのトラブルで一番多いのがバッテリーあがり。JAFのお盆の時期の出動理由を見ても、およそ30%が過放電バッテリーだ(2022年一般道)。なぜ夏になるとバッテリーが上がりやすくなるのだろうか。その大きな2つの原因と点検箇所を伝授しよう。
発電量が追いつかないとバッテリーあがりの原因になる
ひとつは、暑さでエアコンの使用率も上がってバッテリーが酷使されるため。2023年の7月中旬のように、災害級の猛暑が続くとクルマのエアコンもつねに全開。当然消費する電気も増えるわけだが、夏休み中の週末はどこでも渋滞に巻き込まれやすい。
オルタネーターの発電量はエンジン回転数に比例する部分もあるので、渋滞でノロノロ走行が続くと、エアコン+オーディオ+スマホの充電+ブレーキランプなどで、電気の消費量に発電量が追いつかなくなり、休憩や食事でクルマ(エンジン)を止めたあと、バッテリー上がりになって再始動できない……といったケースが発生しやすい。
もうひとつは、バッテリーの自己放電。外気が高温になると、バッテリーの電解液の活性が活発化し、自己放電が進みやすく、しばらくクルマに乗る機会がなかったりすると(1カ月ぐらい)、自然にバッテリーが上がっていることがある。そして季節には関係ないが、バッテリー自体の寿命や故障、オルタネーターのトラブル、端子の緩み(接触不良)なども、バッテリー上がりの原因になる。そうした夏場のバッテリートラブルを回避するにはどうすればいいのか。
1)バッテリーの点検
まずはバッテリーのコンディションをチェックしよう。ディーラーや大手カー用品店、ガソリンスタンドなどで、専用のテスターを使いバッテリーの点検を頼むといい(通常無料)。ロングドライブに出かける前には、このバッテリーのチェックと、タイヤの点検は必須項目だと覚えておいてほしい。
2)暗電流の確認
バッテリーはエンジンが止まっているときでも、コンピューターやセキュリティシステムなどに対して、常時電気を供給している(いわゆる暗電流)。また後付け電装品(オーディオ・ドライブレコーダーなど)にも暗電流が流れているので、暗電流の量が適切な範囲かどうかを確認しておく。もしも暗電流が多いようなら、バッテリーの容量アップを考えた方がいい。
3)オルタネーターや端子の点検
JAFの夏場の出動理由の第7位に「発電機/充電回路のトラブル」もある。オルタネーターの寿命は一応10万kmが目安といわれているが、夏場はエンジンルームの熱の影響で壊れやすく、ICレギュレーターがパンクすることも……。新車登録から7~8年経っているようなクルマなら、電装屋など専門店で発電状態などを一度点検してもらった方が安心だ。
4)専用充電器で充電してから出かける
普段チョイ乗りが多い人や、クルマに乗る頻度が少ない人は、バッテリー残量が少なくなっている可能性が大きい。そこで出かける前に、過充電になる心配のない(バッテリーの寿命を縮めない)、メンテナンス機能の付いたバッテリー充電器を使って、満充電にしてから出発すると、リスクが減らせる。
5)早めに交換(予防整備)
バッテリーの寿命は2~3年といわれている。とくに高性能バッテリーほど、寿命が尽きるギリギリまでしっかり仕事をしてくれるので、劣化の前兆に気づきにくい。
そのためいわゆる「突然死」を起こしやすいので、3年以上使ったバッテリーなら、トラブルがでないうちに思い切って新品に交換してしまうのがベスト。
とくに、クルマの使用頻度が低い人や、チョイ乗りばかりという人は、短時間でも効率的に充電ができる充電受入性能の高いバッテリーを購入するのが望ましい。
出先でバッテリー上がりを起こすと、楽しいドライブも台無しになり、時間や体力、その他もいろいろ奪われてしまう。季節ごとの点検と早めのバッテリー交換で、バッテリー上がりのトラブルを回避するようにしよう。