オンだけでなく、オフでも魅力的な1台でした
じつをいえば走行に入る前には、ターボ付きとはいえ2L直列4気筒エンジンでは、1960kgの車両重量に対して力不足では……? という意地の悪い危惧もあった。また、リッターあたり136psというハイチューンユニットでもあることから、オフロードでは必須の低速トルクは期待できないとも予想していたのだが、それは筆者の杞憂に終わった。
古典的な4輪リジッドながら、クロスカントリー車の先達らしく巧みに練り込まれたサスペンションも相まって、登りでも下りでも適切なスピード感で走破。さらに作動域に入れば正確ながら、適度な遊びのあるステアリングのおかげで、キックバックと格闘することもなくコースと対峙することができる。
そしてここで効力を発揮するのが、先代JKラングラー(アンリミテッド)の7.1mから6.2mに軽減された最小回転半径である。6.2mといえばまだまだかなりの大回りながら、オフロードコースではこの90cmの差が意外なほどに大きい。
くわえて、フロントフェンダーがボンネットフードよりも一段下がった、元祖ジープ以来不変のデザインのおかげで、前方斜め左右の視界はとても良好。慣れてくると、かなりシビアなコースにも嬉々としてチャレンジしたくなってしまう。
もはやヒルディセント・コントロールに頼ることなく、すべて自分の裁量でスロットルやブレーキの操作を行うことができるようになってくると、コースとの対峙が本当に楽しくてたまらなくなってくる。
同行したカメラマンから撮影のためにリクエストされた以上に、急坂のヒルクライムにダウンヒル、モーグルなどのステージを何度も何度も周回する。そしてふとルームミラーに目をやると、いい歳をして満面の笑みを浮かべたアラカンおじさんの顔が映っている。
そして車外に降りると、こんどは泥だらけになったアンリミテッド サハラのカッコよさにニヤニヤしてしまったのだ。
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ところで今回のオフロード体験では、アメリカを代表するタイヤブランド、BFグッドリッチの協力により、舗装路での使用に軸足を置いた「トレールテレーンT/A」、クロスカントリー専用ではないがオフロード走行も念頭に置いた「オールテレーンT/A KO2」からなる、2種類のタイヤを履いたアンリミテッド・サハラを乗り比べる機会を得た。
ただし、前者ではディファレンシャルがより激しく作用して滑りを止めていることが作動音で理解できる程度の違いで、今回のコースでは双方とも苦もなくコースを征服していたことを、レポートの締めくくりとしてお伝えしておきたい。