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納車前にはやくも暗雲!? イタリアからやって来た「500」を徹底仕上げする日本のプロ集団とは【週刊チンクエチェントVol.13】

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TEXT: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)  PHOTO: 嶋田智之

心強いプロフェッショナルが対応してくれる

チンクエチェント博物館は、これまでお伝えしてきたとおり、基本はイタリアで使われていたチンクエチェントを買い付け、イタリアのチンクエチェントのスペシャリストのところでレストアもしくはセミレストアといえるようなリペア/オーバーホールなどの作業を施して、日本へ入れている。が、そもそもイタリアと日本のレストアというものに対する概念が違っていたり、ビジネスの慣習が違っていたりで、伊藤代表や深津館長の求めているクオリティに少し届いていないところのある個体というのも出てくるわけだ。

なので、伊藤さんと深津さんが日本に上陸したクルマをまずは細かくチェックして、手を入れ直すべきところは日本のスペシャリストたちに依頼してしっかり手を入れ直す。洗いのプロ、というかほとんどディテーリング作業のプロといえる方々に依頼して、細かな部分にまでこだわって内外装を仕上げる。里親さん(?)が決まったら、PDI作業で再度すべてをチェックして、可能な限りいい状態にするためのメンテナンスも施す。その3つの工程を経て、クルマを里親さんのところへ納める、というかたちだ。

そしてほかのクルマ屋さんと異なるのは、販売やアフターメンテナンスのネットワークを構築していること。展示・販売やアフターメンテナンスに対応する「クラシケ・ディーラー」、そしてアフターメンテナンスなどを担ってくれる「クラシケ・サービス」というかたちで、数多くのパートナーと協力し合いながらチンクエチェントと暮らしたい人をサポートする体制が整っているのである。

●クラシケ・ディーラー

ガレーヂ伊太利屋(東京都江東区有明)

フィアット岐阜(岐阜県岐阜市)

フィアット京都(京都府京都市)

●クラシケ・サービス

ロッソカーズ(山形県鶴岡市)

トゥルッコ川口(埼玉県川口市)

トライ フォー ポイント(静岡県伊豆の国市)

スティルベーシック(静岡県静岡市)

アクト オート サロン (愛知県蒲郡市)

トゥルッコ名古屋(愛知県名古屋市)

ガレージ プレアデス(愛知県名古屋市)

ベーシック ベーネ ニワ(岐阜県可児市)

レッドポイント(岐阜県各務原市)

オートマイスター(大阪府大阪市)

カーショップ トリミ(佐賀県三養基郡みやき町)

──と、このあたりはチンクエチェント博物館のWeb Siteにも名前がちゃんと記されていて、いずれもその筋では著名だし信頼のおけるスペシャリストばかりだ。が、実はほかにも表に出していないサポーターというのが存在していて、それはスーパーフォーミュラやスーパー耐久レースなどをやってるレース・ガレージ、全日本ラリー選手権のマシンを仕上げたりメンテナンスしたりするラリーのエキスパート、日本有数といえるコレクターの新旧スーパーカーを手掛けるプロフェッショナル、旧車のスペシャリストなどなど、かなり多彩。もちろん博物館にも専属メカニックがいたりもする。

つまり、例えば仮に出先でクルマがトラブルに遭ったとしても、博物館に相談の連絡をすればそれぞれのスペシャリストに話をつないでもらえ、然るべき対応をそちらにお願いすることができる、というわけだ。これって古いクルマのユーザーにとっては、かなりの安心材料になると思う。

今になってみれば、この体制が本当に安心材料になってるしあれこれ助けていただいてもいて、ありがたみが身に沁みてるわけだけど、このときはそんなことは想像もしておらず、だった。また例によってしばらく雑談した後、そこから先の予定をちょっと相談して電話は終わったのだが……。

ちょっと気になるプチトラブル発生

それから10日少々して、深津さんがまた連絡をくれた。ニワさんのところでのPDIが終わってクルマが博物館に戻り、引き渡し日程の相談のためだった。

「ゆうべ、JAFのお世話になっちゃったんですよ。夜に自宅から近くのコンビニまで走っていって、止まっちゃったんです。いや、本当に家の近くだから何も持ってなかったし暗くて何も見えなかったんで、手の打ちようがなくて。まぁちょっとしたところが外れちゃってただけで、たいしたことはなかったんですけどね」

実は深津さん、僕がクルマを受け取ったらその日に300km以上の距離を走って東京に戻ることになるため、念のためにそれまでの間はなるべくチンクエチェントを走らせてチェックをしようと買って出てくれてたのだ。日によっては80km以上も走ることになるわけで、PDIの前後のテスト走行のときには見えてこないものが見えてくる可能性もある。おそらく2気筒エンジンの振動で何かがゆるんで、最終的にはそこが外れたのかな? 僕はそんなふうに思ってた。

「まぁ今は走れてますけど、距離を走ってるうちにちょっとだけ気になったことがあるんですよ。嶋田さんなら乗ってみればすぐに気づくと思います。だから、またニワさんに視てもらおうと思ってて、嶋田さん、車を引き渡す日に一緒にニワさんのところに行きません?」

もちろん! 望むところ、だ。その予定日は2021年4月9日。前日に名古屋で取材があるから、僕は取材チームと夜に現地で別れてホテルに泊まることにしていた。翌朝、寝坊をしないで早めに博物館に行けばいいだけの話である。

ターコイズブルーを初めて走らせる日。何だかすごく楽しみなような、何だかちょっと怖いような……。

■協力:チンクエチェント博物館

■「週刊チンクエチェント」連載記事一覧はこちら

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  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー雑誌の『ROSSO』やフェラーリ専門誌『Scuderia』の総編集長を歴任した後に独立。クルマとヒトを柱に据え、2011年からフリーランスのライター、エディターとして活動を開始。自動車専門誌、一般誌、Webなどに寄稿するとともに、イベントやラジオ番組などではトークのゲストとして、クルマの楽しさを、ときにマニアックに、ときに解りやすく語る。走らせたことのある車種の多さでは自動車メディア業界でも屈指の存在であり、また欧州を中心とした海外取材の経験も豊富。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
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