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わずか138台のみのBMW「M3 GTS」の現在の価格は? 新車価格を大きく上回る2700万円超えで落札!

わずか138台のみのBMW「M3 GTS」の現在の価格は? 新車価格を大きく上回る2700万円超えで落札!

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2022 Courtesy of RM Sotheby's

走行距離は1万kmにも満たないローマイレージ

ヨーロッパでもっとも格式が高いとされるクラシックカー・コンクール「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」に付随して開催される、RMサザビーズの「Villa Erba」オークションは、近年ではコンコルソ・ヴィラ・デステの公式オークションの地位を占めている。今年は「The M Power Collection」と銘打ち、このイベントの主催社でもあるBMWの名車たち、ことに近現代の「M」モデルたちが多数出品されることになった。今回はその中から、M3史上唯一のV8搭載モデル(限定車を除く)であるE92系M3に用意されたハードコア版「M3 GTS」のあらましと、その競売結果についてふりかえってみよう。

V8搭載のM3クーペに設定された、伝説のハードコアバージョンとは?

2009年に世界初公開されたM3 GTSは、量産型M3史上唯一のV8搭載モデル、E92系M3クーペをベースに、モータースポーツ参戦のノウハウを応用したハードコアな高性能バージョン。E46系M3時代の「M3 CSL」と同じく、ナンバープレートを付けたまま、主にサーキットを舞台にポテンシャルを発揮できることを開発の主眼に置いたという。

「ファイアオレンジ(Fire Orange)」をデフォルトのカラーとするボディには、カーボンファイバー製ルーフ、ポリカーボネート製リアウインドウ、チタン製エグゾーストサイレンサーなどM3 CSLと同様の軽量化デバイスを施したパーツが導入される。

また、E92系標準型M3の豪奢な革張り電動シートは、アルカンターラ張りの軽量バケットシートに換装。後席は内張りごと潔く取り去り、代わりに強固なロールケージが設けられる。6点式シートベルト、消火器、キルスイッチと、レーシングカーさながらのアイテムを装備した結果、ベース車両と比較して140kgのウェイトダウンにあたる1530kgの車重(ほかに1490kgとする表記もあり)を実現した。

この軽量ボディに搭載されたのは、標準型M3から排気量を400cc引き上げた「M」謹製の4.4L V8自然吸気ユニット。最高出力は450ps、つまり30ps上乗せされたうえに、最大トルクも400Nmから440Nmに向上していた。

BMW M3GTS

トランスミッションは7速シーケンシャルDCTの「Mデュアルクラッチ」のみが組み合わされ、最高速度305km/h、また0-100km/h発進加速では4.4秒という素晴らしいパフォーマンスを獲得した。

またエアロダイナミクスにも配慮し、フロントにはリップスポイラー、リアには大型ウイングを追加し、どちらもサーキットの特性に合わせて角度調整が可能とされた。

さらに、サーキット走行のための専用装備が奢られたのも、E46系M3 CSLとならぶ、E92系M3 GTSの特徴といえよう。

鮮やかな黄色にペイントされたスプリングが印象的な専用サスペンションシステムは、減衰力や車高の調整を可能としたもの。ブレーキキャリパーは前6ピストン/後4ピストンで、フロント225/35ZR19、リア285/30ZR19の専用タイヤも奢られていたという。

■M3 CSLと最新M4の乗り比べを誌面で振り返る

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