世界で138台の限定モデルは、2700万円超えで落札!
当時の記録によると、BMW M3 GTSは2009年秋に発表されたのち、2010年5月から正式なデリバリーが開始されたといわれている。
今回RMサザビーズ「Villa Erba」オークションに出品された個体は、原則的に唯一のボディカラー選択肢だった「ファイアオレンジ」にペイントされ、2010年10月1日にラインオフ。2011年4月15日に、母国ドイツで登録されたものとの由である。そして2021年4月に「The M Power Collection」に加わるまでのちょうど10年間、最初のオーナーのもとに置かれていたことが判っている。
このオークション出品にあたってはエチケットラベルに「M」の名を冠したシャンパーニュボトルにDVDユーザーガイド、特製スケールモデルなどの貴重な付属品も添付。同じく付属される整備記録簿には7つのスタンプが押されており、最新のスタンプはオドメーターが9936kmを記録した2023年3月27日に押されたものという。
BMW M3 GTSは、当初150台の限定生産が予定されていたものの、最終的に生産されたのはわずか138台といわれている。それゆえ、現存するMカーの中で最も貴重なモデルの一つとなったが、その事実が現在のコレクターズカー・マーケットにおける市場相場にも大きく反映していることは、誰しも認めざるを得ないだろう。
今をさかのぼること13年前の新車当時、ドイツ国内での販売価格は11万5000ユーロ(当時のレートによる邦貨換算では約1500万円に相当)とされていた。しかし近年の欧州マーケットでは、新車価格を大きく超える14万~16万ユーロあたりで流通している事例が多いようだ。
そんな市況のもと、5月20日に行われた競売では17万2500ユーロ、現在の為替レートで換算すれば約2720万円でハンマーが落とされることになった。
この高評価は、今回の出品車両の来歴の確かさやオリジナル性の高さにくわえて、1万kmにも満たないローマイレージ(低走行)ゆえのコンディションの良さも大きく影響しているのも、間違いのないところである。