5時間と10時間のダブルエントリー!
レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のキーワードは「K4GPとトーヨータイヤ」です。静岡県・富士スピードウェイにて開催される、軽自動車だけの耐久レースがK4GP。夏の風物詩としてモータースポーツ好きに親しまれています。トーヨータイヤがワークス参戦する理由とは?
ユーザーに近い使い方でデータ収集し市販品に活かす
もはや夏の風物詩ともいえるイベントに育った、軽自動車によるレース「K4GP」に、トーヨータイヤがワークス参戦します。
マシンはダイハツ「コペンGRスポーツ」。タイヤはもちろんトーヨータイヤのスポーツ系ブランド「プロクセスTR1」です。「プロクセスR1R」やゴリゴリの競技仕様然とした「プロクセスR888R」ほどのハード系ではないものの、燃費と耐摩耗性が高い次元でバランスしています。そのスポーツタイヤを履いて、富士スピードウェイのレースに挑むのです。僕もドライバーとしてチームメンバーに加わりました。
K4GPは、軽自動車に限定した10時間耐久レース。ただ、単純に瞬間的な速さだけを競うのではなく、エコラン的な要素も含まれています。スタートからゴールまでのガソリン総量が決められていますし、1回の給油で許されているのは20Lまで。つまり、アクセル全開で飛ばしていては燃料が不足します。いかに燃費良くラップタイムを安定させるかも含めて、戦略的にピットインをプログラムすることが要求されます。
ですから、タイヤへの要求度が高い。サーキット走行ですから高いグリップ性能も求められますし、ドライバーが安定して10時間を走り切れるような素直な操縦性も欠かせません。レース中のタイヤ交換はタイムロスを招きますから、耐摩耗性も重要。それにもまして、燃費性能も問われます。転がり抵抗を減らしたタイヤであることも大切なのです。
トーヨータイヤがK4GPに挑む理由は、まさにそこにあります。このレースはスポーツドライビング志向の一般ユーザーの日常的な接し方を再現しているのですから、タイヤ開発には最適な環境だということができますね。
トーヨータイヤは一方で、プロクセスの開発の一環としてニュルブルクリンクに挑んでいます。世界一過酷とされるサーキットに挑むことによってタイヤを鍛える。そこで得たノウハウを市販タイヤにフィードバックする。過酷な環境に身を追い込むことで性能を高めるという、積極的な姿勢を貫いているのです。
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K4GP10時間耐久レースは2023年8月15日(火)に開催されます。じつはその前日の5時耐久レースにもエントリーしていますので、応援よろしくお願いします。