二度の車両火災など波乱の展開に
2023年8月6日（日）、静岡県・富士スピードウェイにて「2023 AUTOBACS SUPER GT Round4 FUJI GT 450km RACE」の決勝レースが100周で争われた。GT500クラスで優勝したのはNo.3 Niterra MOTUL Zだった。
不安定な天候に見舞われた決勝日
決勝日当日、お昼前ごろの時間帯に雨が降り、一時コース上はヘビーウェットとなった。しかし、ウォームアップ走行の時間帯には天候が回復。ただし、天候の悪化が予想されたため各チームタイヤ選択が難しいコンディションとなった。ウォームアップ走行ではスリックタイヤを装着するマシンも見られた。
グリッドウォークが始まった時間帯では雨は上がっていたが、開始とともに雨脚は強まりコースコンディションは再びウェットになる。しかし、グリッドウォーク終了時には雨が止み、各マシン最後までスタートタイヤの選択を悩んでいた。
フォーメーションラップ開始時のコースコンディションは気温26度、路面温度33度。最終的に悪天候のためウェットコンディションとなり、セーフティカー（SC）スタートにより100周の戦いの火蓋が切って落とされた。
スリックタイヤへと変更が見られた序盤
3周目の第3セクターでNo.3 Niterra MOTUL Zが2台のARTA勢をオーバーテイクし、2位へとポジションを上げる。続く4周目のダンロップコーナーでトップを走るNo.24リアライズコーポレーションADVAN Zをオーバーテイクし、No.3 Niterra MOTUL Zがトップになる。これによりNo.3、No.24、No.16というトップ3オーダーとなる。
11周目、4位を走行していたNo.17 Astemo NSX-GTにスタート手順違反のドライブスルーペナルティが課せられた。GT300クラスの上位陣がスリックタイヤへと変更しているマシンが増え始めたこのタイミングで、GT500もスリックタイヤへチェンジしつつ給油するマシンが増える。しかし序盤からトップを走るNo.3 Niterra MOTUL Zや、上位につけるNo.8 ARTA MUGEN NSX-GTなどはそのままステイアウトする形となった。
14周目、そんな状況で2位を走るNo.8 ARTA MUGEN NSX-GTに同じくタイヤ交換をしていないNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraが接近。そのまま同時にピットへと入り、ピット争いとなった。この争いはNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraが制して、ポジションを一つ上げる結果に。
ウェットタイヤで粘っていたNo.3 Niterra MOTUL Zも15周を終えたタイミングでピットインをし、スリックタイヤへと交換。これにより全マシンがスリックタイヤへと交換を実施した。
車両火災によりSC導入
22周目の最終パナソニックコーナーにて、2位を走るNo.14 ENEOS X PRIME GR SupraがトップのNo.16 ARTA MUGEN NSX-GTに並び、23周目のTGRコーナーのブレーキングでオーバーテイクに成功しトップへとポジションを上げた。以降は2位に2.5～3.0秒の差を安定して付ける形で、No.14 ENEOS X PRIME GR Supraがトップを快走する。
36周目、GT300のNo.244 HACHI-ICHI GR Supra GTが2コーナー先で車両火災によりストップ。そのままSCが導入され、41周目に入るタイミングでSCが解除された。42周目のTGRコーナーでNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR SupraがNo.16 ARTA MUGEN NSX-GTをオーバーテイクし、2位へとポジションアップする。
ペースの速いNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraはトップを走るNo.14 ENEOS X PRIME GR Supraを射程圏内に捉える。46周を終了したタイミングでNo.14 ENEOS X PRIME GR Supraはピットイン。GT500の中では最も早いタイミングでルーティンのピット作業を実施し、山下健太選手へとドライバーチェンジする。
2位を走行していたNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraも翌周にピットイン。ルーティン作業を実施し、中山雄一選手へとドライバーチェンジ。No.14 ENEOS X PRIME GR Supraの後ろの位置でピットアウトとなった。
以降は各チーム空模様と相談しながら、各マシンバラバラのタイミングでルーティンのピット作業を実施する形となった。ルーティンのピット作業を最後に行ったのはNo.37 Deloitte TOM’S GR Supraで、60周目に入ったタイミングであった。このタイミングでジュリアーノアレジ選手へとドライバーチェンジする。
2回目のSC導入から赤旗中断へ
67周目、13コーナーでGT300のNo.25 HOPPY Schatz GR Supra GTに車両火災が発生し、SCが導入される。ドライバーは自力で脱出したものの燃料系の火災により消火活動が難航し、赤旗中断となる。
赤旗中断中、雨が降り始めて雨脚が強まりウェットコンディションとなる。これにより待機しているホームストレート上でのウェットタイヤへの交換が許可された。レース再開時間は天候の悪化により当初より伸び、最終的に16:30にSCランでレース再開となった。雨は止んだがウェットコンディション状態で、残り29周になるタイミングでSCが解除された。
74周目のTGRコーナー、No.3 Niterra MOTUL ZがNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraをオーバーテイクし、2位へとポジションを上げる。その速いペースを維持したまま、75周目のTGRコーナーでNo.14 ENEOS X PRIME GR Supraをオーバーテイクしトップへと踊り出る。
3位を走行するNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR SupraにNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra、No.16 ARTA MUGEN NSX-GT、No.8 ARTA MUGEN NSX-GTが接近し、4台ワンパックになる。一つ抜け出したのはNo.37 Deloitte TOM’S GR Supraで、80周目のTGRコーナーで3位へとポジションを上げた。
84周目に入ったタイミングで上位を走っていたNo.14 ENEOS X PRIME GR Supraが賭けに出る。再度給油しスリックタイヤでコースへ復帰。これを見てNo.1 MARELLI IMPUL Zもスリックタイヤへとチェンジした。
87周目、No.17 Astemo NSX-GTが3位を走るNo.37 Deloitte TOM’S GR Supraをオーバーテイクし3位へとポジションを上げる。残り7周、No.17を先頭に4台での3位争いが繰り広げられる。ここで抜け出したのがNo.100 STANLEY NSX-GTで3位に順位を上げた。
波乱の展開となった第4戦、最終的にトップでチェッカーを受けたのはNo.3 Niterra MOTUL Zとなった。なお、レース終了後、No.100 STANLEY NSX-GTとNo.16 ARTA MUGEN NSX-GTに対して、ピット作業規定違反によるペナルティが課せられた。
最終的な上位10台の結果は以下の通り。
1位：No.3 Niterra MOTUL Z
2位：No.64 Modulo NSX-GT
3位：No.16 ARTA MUGEN NSX-GT
4位：No.36 au TOM’S GR Supra
5位：No.38 ZENT CERUMO GR Supra
6位：No.100 STANLEY NSX-GT
7位：No.17 Astemo NSX-GT
8位：No.37 Deloitte TOM’S GR Supra
9位：No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra
10位：No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z