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バブル崩壊後のマツダ「クロノス」の悲劇とは?「カペラ」後継機種として華々しくデビューする予定が残念な結果に

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TEXT: 小鮒康一(KOBUNA Koichi)  PHOTO: AMW編集部

なめらかな曲線が美しいクロノス

1990年代初頭に訪れたマツダの経営危機。その元凶として語られることも多い車種が「クロノス」だろう。バブル崩壊直後の1991年10月に登場したクロノスは、それまでのマツダの看板車種のひとつである「カペラ」の後継車種として華々しいデビューを飾るハズだったモデルだ。結果的に知名度のあるカペラの名前を捨ててしまったことで、販売面で苦戦を強いられることとなってしまったクロノスだが、果たしてクルマとしての実力はそこまで酷評されるものだったのだろうか?

全幅1770mmの3ナンバーに大変身

まずエクステリアだが、カペラのように5ナンバーに固執することなく、全幅1770mmのワイドなボディとなった。それまで主流だった角ばったデザイン(先代のカペラも同様だった)から、なめらかな曲線を多用したグラマラスなデザインへと一変。

ただキャビンは当時流行していた4ドアハードトップ車のように低められることはなく、大人4人がゆったりと乗れる居住性を兼ね備えていた。

またボディサイズが拡大し、側面衝突に対応するためのサイドインパクトビームなどがドアに内蔵されていながらも、軽量化も同時に実施することでカペラに対する重量増は最小限に留められていたのも美点と言えるだろう。

当時のV6としては最小排気量のエンジンだった

搭載されるエンジンも、デビュー当初は新開発のV型6気筒の1.8Lと2Lのみのラインナップで、同クラスのライバル車種にはないゆとりを表現し、1.8Lエンジンは当時のV6としては最小排気量であることも特徴となっていた。

マツダ クロノスの2L V6エンジン

のちに4WDモデルを追加した際に直列4気筒2Lエンジンを搭載し、1992年3月にはカペラ時代にも設定されていたPWS(スーパーチャージャー)付き2Lディーゼルなども追加されるが、あくまで本質はV6エンジンということで、1992年5月には200psを誇る2.5L V6エンジン搭載車も追加設定された。

このV6エンジンは当時の新開発エンジンということもあり、シルキーな回転フィールと意外にも低回転からトルクのある乗り味は好事家からは一定の評価を集めたのだが、当時はバブル崩壊後で急激に消費が冷え込んでいったタイミングであり、優雅さや余裕、ゆとりといったワードが歓迎されなくなりつつあったのもクロノスの販売が低調となった要因のひとつであることは間違いないだろう。

また当時同時に推し進められていたマツダ5チャネル戦略により、クロノス派生の兄弟車が乱発されてしまったのも不幸の要因のひとつ。バブル景気が続いていればさまざまな需要に対応できていたかもしれないが、バブル崩壊後のタイミングでは「どのクルマを買えばいいのかわかりにくい」というネガティブ要素が先に来てしまったのも不幸というほかない。

このように、冷静に考えてみるとクロノス自体は魅力的なモデルに仕上がっていたものの、登場した時代背景によって不人気車となってしまったとも言え、「クロノスの悲劇」とは、クロノスによってもたらされた悲劇というよりは、クロノスが被ってしまった悲劇と受け取ることもできるのではないだろうか。

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