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いよいよナンバー取得して路上へ出るも「ナゾ」の振動が発生! エンジンは当たりを確信【週刊チンクエチェントVol.14】

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TEXT: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)  PHOTO: 小池雄之(ABA)/嶋田智之/ Stellantis N.V.

速度があがるにつれて振動が大きくなる

10分弱くらい走ってから博物館に戻って深津さんにそれを伝えると、まさしくその2点。そこをこれからベーシックベーネ・ニワの丹羽さんにチェックしてもらおう、というわけだ。

博物館からそう遠くないところにある、喫茶店なのに誰もコーヒーを注文せずあんかけスパゲティだけ食べて帰るという隠れた名店でランチをしながら、「チンクエチェントにはこんな感じの個体が結構あって、古いクルマなだけにレストアしても個体差が大きかったりするから、これが正常なのかどうかが判断しにくいんですよぉ」「新品パーツでいろんなところを組んでるから、もしかしてまだそういうところが馴染んでないってことも考えられますよねー」なんて話をしてたわけだけど、結局のところは決定的にダメな感じがしているわけでもないし、原因がつかめるわけでもなくクチにするのは推論に過ぎないわけで。

そんな疑問を抱えたまま深津さんに同乗してもらい、ベーシックベーネ・ニワを目指して出発した。名古屋の高辻から岐阜の可児市にある丹羽さんのところまで、名古屋高速を使って走っていく。制限速度は速いところで80km/hだから、ほぼナラシ中(といってもエンジン回転を制限して走ったら交通の流れを阻害しちゃうからナラシのわりにはエンジンを回さざるを得ないのだけど)のフィアット500が65km/hとか70km/hチョイとかで走っても、まわりにそう迷惑をかけることはない。

週刊チンクエチェント

そんなふうに考えて高速道路に滑り込み、アクセルペダルを踏み込んで加速を……ところてんを押し出すようなゆるい加速を試みると、やっぱりこれまでの499.5ccのフィアット500より速いし、力強い気がした。けれど……けれど、だ。スピードメーターの針が65km/hに達する頃から微細だった振動がググッと大きくなって、深津さんと僕はほとんど同時に「えー!」と声をあげた。ドライバーズシートとパッセンジャーズシートの間にあるシフトレバーが、まるで五木ひろしさんの拳をグッと握りしめるアクションを何倍速もの早送りで見てるように、前後にプルプルと動いている。走るのに差し障りがあるようなことでもないのだけど、何じゃこりゃ!? である。

「さすがにここまでのはほかのチンクエチェントで感じたことはないですねぇ」

 「低速域では微かだった振動がある特定のゾーンに達すると別の何かと共振をはじめてこうなっちゃうんですかねぇ……?」

「嶋田さん、もうちょっとスピード上げてみてもらえます?」

「わかりました。……あれ? 振動が小さくなってきた。……おっ! ほぼ止まりましたね。今、メーターで75km/hちょい、ってところです」

「うーん……何なんだろうなぁ……?」

「ほんと何なんでしょうねぇ……?」

下道に降りたら、もちろんそこまでの振動は出てこない。なるほど。これではPDIの前後のチェック走行で大きな異変を感じられるはずもない。だって、一般道では速度違反になるところまでスピードを上げないと、そのゾーンに入らないのだ。

そうこうしているうちにベーシックベーネ・ニワに到着したわけなのだけど、実はこの日のここまでの写真というのがない。最初は初走行で興奮して、その後は振動に気を取られ、撮ることをすっかり失念していたのだ。なので今回のメインと2枚目は、チンクエチェント博物館のYouTubeの企画・撮影・編集をしているクリエーターのABAさんこと小池雄之さんが、動画撮影をしたときのインサートカットのあまりを分けてくれたものだ。そう、ゴニョン(仮称)は、実は2023年に入ってから動画デビューを果たしているのである。お話は次回に続くのだが、ここに動画をふたつ貼っておくので、それまでの間、ぜひぜひ楽しんでちょーだいまし。

 ■協力:チンクエチェント博物館

■「週刊チンクエチェント」連載記事一覧はこちら

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  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー雑誌の『ROSSO』やフェラーリ専門誌『Scuderia』の総編集長を歴任した後に独立。クルマとヒトを柱に据え、2011年からフリーランスのライター、エディターとして活動を開始。自動車専門誌、一般誌、Webなどに寄稿するとともに、イベントやラジオ番組などではトークのゲストとして、クルマの楽しさを、ときにマニアックに、ときに解りやすく語る。走らせたことのある車種の多さでは自動車メディア業界でも屈指の存在であり、また欧州を中心とした海外取材の経験も豊富。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
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