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トヨタ「86」をTRDが手掛けた「14R」とは?「14R−60」との違いも解説します【86名車プレイバック】

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TEXT: 橋本洋平(HASHIMOTO Yohei)  PHOTO: 神村 聖

終始安定方向を意識したエアロダイナミクス

14R-60はとにかく前後バランスに優れることが特筆すべき点だったが、14Rは終始安定方向に空力が効いている。フロントまわりの長さが違うところも、そんな味につながっているのかもしれない。ロングドライブをしても疲れ知らずの感覚、それがこのクルマの持ち味だ。

それはもちろん、タイヤ&ホイールのチョイスやシャシーの造り方にも起因しているのだろうが、スポーツ走行というよりは明らかにストリートを狙っていることが読み取れる。より万人向けのセッティングと言えばいいかもしれない。

だが、それは決してネガティブな話ではない。疲れ知らずで、しかもビギナーでも怖さがなく走れるところが14Rの持ち味。誰もがグリフォンのテイストを味わえるという意味で、この仕様は絶妙。14Rファンの裾野を広げ、その世界を続けていくという重責を担うにはピッタリだ。

本気のメーカー系チューニングカーを見た

今回、14R-60と14Rという2台のTRDコンプリートモデルに試乗し、さらに工房を拝見させていただいてあらためて感じたことは、メーカー系チューニングが本気になった時の底力だ。がむしゃらにコンセプトモデルを作り上げ、それを受け継ぐストリート仕様のパイロット版を限定販売という形で落とし込む。さらに、普及モデルを後に展開するという用意周到な流れ。いずれの仕様にも秀逸すぎる世界観を実現していたこと、そのすべてがアッパレとしか言いようがない。だがしかし、このプロジェクトがここで終わってしまっては何の意味もないと僕は考える。

ベースの86がスポーツカー文化を育てようと、年々あらゆる領域を成長させているなら、やはりTRDもそれを後押しするように、コンプリートモデルを継続していくべきだと感じずにはいられなかった。600万円オーバーという非現実的な14R-60かもしれないが、やはり第2弾を製作してほしい。せっかく世界に通用しそうなコンプリートモデルの兆しが見えたのに、それを後世につなげない手はない。TRDの本気をこれからも見続けたいのだ。

※この記事は2015年のXaCAR 86&BRZ magazine Vol.07の記事をもとに、再編集したものです。表記の数値や肩書きにつきましては、当時のものになります。

【14R 車両価格(当時)】
376万7237円(6速MT)/384万971円(6速AT)

【14R装着主要パーツ】
・フロントスポイラー・カラードフェンダーエアロフィン・サイドスカート・リアトランクスポイラー・GTウイング&専用アンダーリップ(オプション)・リアバンパー&デュフューザー・ハイレスポンスマフラー(センター出し)・鍛造アルミホイール(18×8J +48)&ポテンザS001(225/40R18)・ドアスタビライザー・ロアアームカバー・フロントホイールフェアリング・フロントアンダーカバー(フロア下、タンク下)・インテークマニホールドカバー・ウインカーバルブ・専用オーナメント&専用エンブレム(14R)・スカッフプレート・プッシュスタートスイッチ・専用フロアマット・専用ナンバープレートボルト・専用車検証ケース・専用キーケース

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