アンティークな給油機のある雑貨店は創業90年
最後はルート66モータースから西に約10km、ローラという街の「トーテムポール・トレーディングポスト」だ。トーテムポールは北アメリカの太平洋沿岸に住む先住民が作る柱状の木造彫刻で、トレーディングポストは彼らと白人の開拓民が物々交換を行った場所を指す。今ここで実際に交易をしているわけではないが、トーテムポールを模した大きなビルボードと、アンティークな給油機が目に入り立ち寄った。
店舗の入り口に置いてある看板によると創業は1933年、ミズーリ州のルート66沿線で最古のビジネスだという。さらに興味をそそられて店内を物色していると、オーナーのティムさんが「どこから来たんだい?」と。
開業したころはもっと東のアーリントンにあったらしい。開通したてのルート66と近隣に陸軍基地があったおかげで繁盛していたが、1940年代のルート変更をきっかけにアーリントンは賑わいを失っていった。1960年代までは踏みとどまるも生活を守るため移転、現在の場所に落ち着いたのは1977年だという。
定番のルート66土産やちょっとした日用品に加え、トレーディングポストという名に相応しく先住民の民芸品、さらにアンティークな雑貨も多く目移りしてしまう。ローラは約2万人が暮らすそこそこ大きな街だ。ルート66の小さな店は「次に来るときまで残っているかな」と不安になることも多いが、ここは旅行者だけではなく地元の人も頻繁に利用しているようで何だかホッとした。
ミズーリ州に限らずルート66の沿線には、味のある個人商店が星の数ほど存在する。それらを訪ねて歩くのも旅の醍醐味といっていいだろう。
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