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マツダ「R360クーペ」は国産市販車の原点!? 少年時代のミニカー収集の原点となった軽自動車を振り返ります【カタログは語る】

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人

ミニチュアカーがクルマ趣味の原体験となった

ところでとても残念なことに、実物は今はもうない。あるいは物置きの中の荷物のどこかに紛れ込んでいる可能性はゼロではないが、何度かの引っ越し、家の建て替えで行方知らずの状態だ。マツダR360クーペが僕にとってミニチュアカー集めの第1号車だったと書いたとおり、(世の偉大なコレクター諸先輩の足元には及ばないものの)ミニチュアカーのコレクションはその後も今に至るまで(ときには家内の冷ややかな視線を気にしつつも)ずっと続けている。

そんななかで幼少の頃のミニチュアカーといえば、当然、親が買ってくれたもので、そうしたミニチュアカーの一部は今でも仕事部屋のキャビネットの中に並べてある。筆者の幼少当時、国鉄(現・JR)の事務職だった父親が母親とともに、おそらくいろいろなやり繰りをして、新宿・伊勢丹のミニチュアカー売り場のショーケースの前に座り込む僕のために、決して安価ではなかったはずのそれらのミニチュアカーを買ってくれたこと……そう考えると、本当に頭が下がる思いしかないが、そうした原体験は今の自分の仕事に繋がっているのだとは、今でもミニチュアカーを眺めながら思う。

マツダ100周年の記念限定モデル第1弾もR360クーペだった

件のマツダR360クーペのミニチュアカーは、まったく同じボディカラーの個体を少し前に偶然、某ネットオークションで見かけた。一瞬、入札ボタンを押しそうになったが、「万」の桁の落札価格の表示を見て思いとどまった。それから少し経ってからもう1度見に行くと、すでに「終了」の表示になっていたから、縁が薄かったということか。

前段にも書いたようにミニチュアカーの「実車」は今は手元にはない。だが、当時はたいそう気に入って遊んだために、塗装があちこち剥げ、セルロイドのウインドウもペコンと凹んだ、そんなマツダR360クーペのボディを手にしたときの小さくともズシリと重たい感触は、今でも僕の掌に残っている。

そういえば2020年にマツダが創立100周年を迎えた際、なんと100周年記念限定モデルの第1弾としてR360クーペがリリースされたのだった。写真はその実物で、たしか何かの取材の折に会場に展示されていたもの。現代の技術で作られているから形もよく精巧で、この写真を撮りながら、「本物の新車は無理ですが、このクルマなら僕でも“1台ください”と言えます」などと、仕事中ながら、いつもの調子でおどけながら貰ってこようかともさんざん思いあぐねて、結局思い留まった。

だが、この原稿を書きながら思いが再熱、試しにマツダのホームページを覗いてみると、無念にも「SOLD OUT」の表示と「こちらの商品は販売終了いたしました。再生産の予定はございません」の文言が。筆者のようなそういうファンのためにも、せめてミニチュアカーについては再生産していただけないものだろうか。

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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