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伝説のAMG「レッドピッグ」が北九州に! 本物そっくりのレプリカは公道仕様なのでその気になれば普段遣いもできちゃいます

街中をドライブすることができるレッドピッグ

伝説の「レッドピッグ」を忠実に再現したレプリカが存在していた

欧州ツーリングカー選手権で大活躍して、AMGの名を世に広めた伝説のレーシングカーが、メルセデス・ベンツ「300SEL6.8AMG」だ。「レッドピッグ」という愛称で親しまれたメルセデスはオリジナルこそ失われているものの、忠実に再現されたレプリカが存在していた。北九州のショップが販売している280SEベースのレプリカ車両を紹介しよう。

AMGの名を世間に広めた伝説のメルセデス

「AMG」といえば、いまでこそメルセデス・ベンツの高性能モデルを指すが、もともとはチューナーであった。AMGの名前の由来はと言うと、創業者それぞれの頭文字であるAufrecht(アウフレヒト)のA、Melcher(メルヒャー)のMと、アウフレヒトの故郷であるGrossaspach(グローサスパッハ)のGを取って名付けられた。以前はメルセデス・ベンツのチューナーとして名を馳せていた。だが、現在はメルセデス・ベンツでありながら独自の「メルセデスAMG」ブランドとして展開されていることはご承知の通り。そんなAMGの名を有名にさせるきっかけとなった1台が、今回紹介するメルゼデス・ベンツ300SEL6.8AMGである。

レース界の話題をさらった「レッドピッグ」

時代は1971年、当時はモータースポーツブームの真っただ中だった。そのなかでも欧州ツーリングカー選手権(以下、ETC)は、ツーリングカーレースのトップカテゴリーとして各メーカーが熾烈な争いを繰り広げていた。そこにAMGが満を持してメルセデス・ベンツ300SEL6.3をベースにレーシングモディファイを加えたマシンを投入した。

パワーユニットとして搭載したのは、6.3L V8 SOHCエンジンをチューニングして6.8Lに排気量を拡大したエンジンで、さらにDOHC化まで達成したもの。ノーマルエンジンは最高出力が230ps程度だったが、AMGチューンによって最高出力は428psに達するハイパワーエンジンへと進化していた。

ETCへはシリーズ中盤からの参戦だった。第5戦スパ・フランコルシャン24時間耐久レースでは、名門アルファ ロメオやフォードを相手に総合2位を獲得している。レーシングカーの中で1台だけ大きなボディを持つセダンが、とんでない加速を見せて走っていく様は、ギャラリーを夢中にさせて話題をさらった。世間では「世界最速の4ドアセダン」と評されるようになり、「レッドピッグ」という愛称が与えられてファンたちに親しまれた。

ベース車両はメンテナンス性や耐久性を重視

現在のAMGの原点ともいうべきマシンが、この1971年に登場したメルゼデス・ベンツ300SEL6.8AMGであり、忘れることのできない記念モデルであることは間違いない。だが残念なことに、オリジナルモデルはテスト中の事故によって全損し、この世には存在していない。したがって今回紹介するモデルは、そのオリジナルを再現したレプリカということになる。

しかし、ただのレプリカと言うなかれ。希少価値という点では非常に貴重な1台なのだ。そのクルマを所有しているのは、ヴィンテージカー専門店として北九州市小倉にファクトリーを構える「VISCO」だ。クルマの素性について詳しい話を代表に聞くと、もともとアメリカのビルダーが製作したものだったという。そのため、本来なら300SELをベース車両として使うべきところが280SEになっているとか。

それはなぜなのかというと、300SELは足まわりがエアサスペンションになっているため、マメなメンテナンスが必要になり、耐久性の面でも不安を抱えているからだという。そこで、スプリング式サスペンションのモデルである280SEをベースに作り込まれているそうだ。

その気になれば手に入れて街乗りもできる

見た目に限って言えば、完全なるレーシングモデルとして再現されていて、レッドピッグならではのスパルタンな雰囲気を醸し出している。ところが実際にレースに出て走るために作られたわけではないので、街乗りとして公道を走行できる仕様になっているのだ。オリジナルの再現度は抜かりなく、トランクに搭載されているレース用の安全タンクでさえダミーで備えられているほど。オリジナルに忠実ながら、実用的にアレンジされているところがじつにユニークだ。

AMGを有名にした伝説のメルセデスが、街乗り仕様にリメイクされているとなれば、レーシングカーには手を出しにくいと思っている人でも、思わず手に入れたいと思ってしまうのではないだろうか。そんな人には朗報。じつはこのレッドピッグは、決して手の届かないショーモデルではないのだ。実際にVISCOが販売していて、その気になれば手に入れることができる。日本にはここまで忠実に再現したレッドピッグは他に存在していないそうなので、興味のある方はぜひお店に問い合わせてもらいたい。

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