パイクカーシリーズは女子ウケ抜群
そんなタイミングで世間をにぎわせたのが、1987年の「Be-1」、1989年の「パオ」に続く日産のパイクカーシリーズの「フィガロ」(1991-1992年)だった。初代「マーチ」をベースにした、中身はごくフツーのコンパクトカーだが、デザインはバブルそのもの!? レトロ調のオープンカーであり、デートカーとしての資質は極めて高く、抽選販売というレア感もあって若者に大人気。今でも「せっかくグルメ」というバナナマンの番組で使われている、ある意味、1990年代を象徴する日産の名車の1台である。
その日産から、1994年に登場したパイクカーの日産「ラシーン」もクロスカントリーな雰囲気ある比較的手ごろな価格で手に入った、スキー好きの若者をとりこにしたデートカーだった。
ドラえもんがキャラクターだった「新・ぼくたちのどこでもドア」がキャッチコピーのラシーンは全グレードが4WDだったのである(「サニー」の4WDベース)。それまでのほのぼのとしたパイクカーシリーズとは一線を画す、今ならクロスオーバーモデルと評されるはずの、これまた日産が1990年代に企画、販売した名車と呼んでいいデートカーである。
そうしたクルマたちは、とにかく婦女子を隣に乗せて、ゆったりとドライブを楽しむデートカーだったわけだが、走り好きの若者にとっても、1990年代は絶好のお手頃スポーツカーでデートを楽しめる時代だった。
オープン軽スポーツカーも女子ウケが良かった
1991年にスズキから「カプチーノ」、ホンダから「ビート」の2台の軽オープンスポーツカーが登場したのだった。筆者もその2台で伊豆などへ女の子を連れ、フルオープンで海辺のドライブテートを楽しんだものだ。セルシオやアリストなどでは得られない、軽快かつ爽快な季節と風を感じる走りに、彼女たちが大いに満足してくれたことを思い出す。
連れ出したときに「気持ち半分」の子でも、東京から伊豆に着く間に、オーディオから流れるドライブソング選びの良さもあって、「気持ち100%」に達していたりしたものだ。こうした軽オープンスポーツに肩を寄せ合って乗っているカップルに、悪い人はいない……!? そんな世間の見方もあったほどである(あくまでも個人の印象)。