素直なハンドリングは扱いやすく楽しい
さて、そんなID.4をいよいよ走らせる。今回乗るのはIiD.4 Proと同等のローンチエディション。まずはドライのハンドリング路だ。そこで感じるのは素直なハンドリングと、確実なトラクションだった。ボディ下面に500kg越えのバッテリーを敷き詰めており、重心は低く収められるが車両重量はおよそ2.1t。けれども、それを無理に抑制しようとはせず、豊かなストロークと程よいロールが得られる造りとしていたことは好感触だ。
前後バランスに優れた感覚をもたらし、操舵輪と駆動輪を分けたことによる素直なハンドリングは見どころのひとつ。トラクションをグッと与えることも可能だし、回生ブレーキが効けば後ろから引っ張りながら止めてくれることもあって、前輪に余裕を持たせてくれるところも素直なハンドリングには効いている。出力的な派手さは、正直言ってないが、それは素直なトルク特性を狙ったとも受け取れる。だからこそ、ワインディングで扱いやすく乗り味が楽しい。EVであってもダイナミック性能を忘れないあたりは、さすがはVWといったところか。
緻密なトラクション制御で圧雪路でも上っていける
続いて与えられた環境は雪道を模した低ミュー路だ。後輪駆動でそこをどうクリアするのか? まず走り出した坂道は、圧雪路や凍結路と同じ路面ミューとなっている。まずは両輪を圧雪路想定の場所に乗せて坂道途中で停止。そこから発進させてみることになった。すると、スタビリティコントロールがじわじわと働きながら、難なく坂を上り始める。その後、左は凍結路、右は圧雪路想定の場所に乗せて発進してみるが、そこでも確実にトラクションを与えてくれることを確認。
もちろん、乱暴にアクセルを踏み込めばややカウンターを当てながらの走行となるが、上れないわけではないのが興味深い。スタビリティコントロールの介入はもちろん、トルクが出過ぎずにコントローラブルなところが特徴のように感じた。
その後は圧雪路想定のスラロームを走るが、アクセルの調教具合はかなりのもの。ときにはアクセルで曲げてパイロンをクリアすることだってできる。後にウエット円旋回も行うが、ドリフトアングルを維持しながらの旋回だって可能だ。
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ただ、本格的な雪道ではもっとトラクションが欲しくなるだろうし、破綻するような挙動はできるだけ出したくないのが本当のところ。正直に言うと、現在の後輪駆動モデルはあくまで非降雪地域において主に使うユーザー向けのように感じる。降雪地域には、やはりドイツ本国に存在する4WDモデルが似合いそうに思えてならない。今後の日本でのモデル展開に期待していきたい。