交通タイムス社の自動車部が愛車を紹介
AMWの母体である交通タイムス社から、クルマ好きのクルマ持ちが集まった自動車部。部員一人ひとりにマイ・カーを熱く語ってもらう連載形式をスタートしました。第3回は1972年式のS30型「フェアレディZ」をこよなく愛する藤原さんです。
絶対に手に入れたかったS30型
この愛車とは約15年の付き合いとなります。幼少期から車好きの私にとって、絶対に手に入れたいクルマは、「フェアレディZ」、「スカイラインGT-R」、「ポルシェ911」とクルマ好きにとってはありふれた好みとなりますが、そのこともあり最初に手に入れたクルマは「Z31型フェアレディZ」でした。当時から初代S30型が欲しかったのですが、当時自身のカーライフは日常の足としても使わなくてはいけない状況でもあり、キャブ車でエアコンレスといった趣味性の高いクルマは残念ながら断念。
時は経ち、その後いくつか乗り換えを繰り返しましたが日常使いのクルマ・趣味としてのクルマと、2台体制を整えられる環境となり、家族の理解も得られ念願のS30型の購入決意。しかしながら15年前とはいえ、ちょうど国産旧車ブームが盛り上がってきているタイミング。S30型は自分が考えていた予算をはるかに超えておりました。
クルマ好き”あるある”ですが、一度強く欲しいと感じたクルマはなんとしても手に入れたいといった衝動に駆られて、とにかく予算に合った車探しを送る毎日。当時の相場は300万円くらいでしたが、自分の予算は200万円だったのです。物色している中、ようやく200万円前半の車両を発見。自分の好みのカスタムもされており、早速その販売店へ。
そこには旧車専門店ではないのですが何台か旧車も取り扱っており、S30型は2台展示されておりました。1台は300万円オーバーと完全に予算対象外でしたが、とにかくその車両に釘付け状態となり、取りつかれたかのごとく一目惚れ。しかしながら現実は予定していた200万円代の現車を目の前に。旧車ビギナーの私にとってはこの個体が良いのか悪いのかが判断つかず、ローンを組んでとにかく頑張れば買えるといった基準で購入を決意したのはよいのですが……。
最初のショップで感じた不信感
購入後のメンテナンスの相談もしたかったので、購入前提で2〜3回通いました。その間に一目惚れしたS30型は売れてしまい、手に入れられない車両とわかってはいたものの寂しい気持ちに。当初検討していた1台を購入する意思は伝えて話を進めたかったのですが、とにかくお店の対応が冷ややかでした。エンジンは掛けてもらえず、正式に見積も依頼したけれど、口頭で曖昧に済まそうする有様。むしろ売る気がないのではと不信感を抱いてしまい……。
そんなこともあり、先の事を考えると断念せざるを得ない状況となってしまいました。よくある中古車屋の不愛想な対応といったお約束事ではなく、今思い出してもあの対応は疑問しか残らない内容でした。このショップとは縁がないと考えなおし、再度S30型を探す日々が始まると思っていた矢先のこと。
また出会えた運命のクルマ
今までチェックしたことがない旧車ショップのホームページを閲覧すると、なんと「あの一目惚れしたS30型」と同仕様車を発見! しかも200万円を切っていたのです。即そのショップに足を運び確認し、同仕様ではなく、まさに「あの一目惚れしたクルマ」でした。どのような経緯でこの店にきたのかは定かでないですが、当初自分が考えていた予算内でもあり、ともかく憧れを抱いたクルマにまた会えたのです。もう手に入れられない車両と思っていたクルマが、自分の手の届くところに再度現れ、まさに”運命的な再会”と感じました。この後は迷うことなく成約!
このクルマを手にしてから、旧車の洗礼も受けております。故障はある覚悟しておりましたが、交通量の多い交差点や首都高の渋滞時でのエンジンストップなど、止まってどうしよう……といった状態ではなく、止まったら「完全にヤバいでしょう!」といった辛い経験もありましたが、つらい経験ばかりではなく新たなクルマ仲間や人脈がたくさん増え、クルマへの愛情がさらに増し、この上ないカーライフを手に入れられることができたのはこのクルマのおかげでもあります。エアコンレス・パワーステアリング無し、現代の「AUTO」といった機能をまったく持たず快適とは程遠いクルマですが、それ以上の満足感と充実感があり、これからも大事に乗り続けていきます!
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今後のカスタム予定は、エンジンとホディのリフレッシュ・メンテナンス。エンジンについてはフルオーバーホール、ホディについてはパテのヒビ割れが目立つ為、フル板金を考えています。仕様変更としては、現在のフロントスポイラーがやや大き目で、多少の段差で擦るケースが多く、小型のスポイラーに変更計画中。これからも予算が掛かりそうなので、徐々に……といってもう何年も経っておりますが、とにかく今は大事に保存していけるようなカスタム(手の入れ方)をしていこうと思っております。