他のトヨタ車とは趣を異にしたところが特徴だった
1970年代のクルマがオールドタイマー、ヤングタイマー、はたまたネオクラシックと、一体何と呼ばれているのか正しく承知できていないが(編集部注:オールドタイマー)、国産車でいうと、1970年代に入ると、理屈ではなく「新し気」なところに惹かれるクルマが次々と登場した。
セリカと兄弟車だったカリーナ
トヨタ「カリーナ」もその中の1台だった。初代カリーナの登場は1970年12月。まさに大阪万博が開催された年で、回顧しようとすると三波春夫の万博音頭(正確には「世界の国からこんにちは」)がどこかから聞こえてきそうだが、浮かれたといって語弊があるなら、カラフルでエネルギッシュな時代の始まり(ただし直後にオイルショックが来たのだったが)を告げる……そんな空気感だったと思う。
そのような中で登場した初代カリーナは、ご承知のとおり同時にデビューしたセリカといわば兄弟車の関係にあるクルマだった。トヨタ車のラインアップ上でいうと「コロナ」と「カローラ/スプリンター」の中間に位置づけられ、まず4ドアと2ドアのセダンが登場した。
この世代のトヨタ車はセダン、クーペ、ハードトップのいずれもファストバックスタイルが主流で、「コロナマークII」、コロナ、カローラ、スプリンター、それから「パブリカ」まで、リアウインドウがなだらかに傾斜していた。もちろんカリーナも例外ではなかったが、縦長のテールランプやハイ/ロービームを区分けして並べたフロントデザインなどユニークで、ほかのトヨタ車とは趣を異にしたところが特徴だった。
さらに登場から2年後にはハードトップが登場。こちらも日本車としては珍しく、リアウインドウの傾斜に対してCピラーをシルエットでさらに寝かせた角度としたところがデザイン上のアクセントだった。
また「足のいいやつ」のキャッチコピーも有名。アクションスターの千葉真一が登場し、CMではダート路を走らせるシーンも使われた。
ラインアップにはセリカと同様、2T-G型DOHC搭載の1600GTが設定、追って18R-GU搭載の2000GTが設定された。昭和51年排出ガス規制の時代で、TTC-C、TTC-L、TTC-V(ホンダのCVCC)といった当時の排気ガス浄化技術が各エンジンに投入されている。
さらに1975年のマーナーチェンジではホイールベースなどを拡大、この時のキャッチコピーが「ビッグカリーナ」。後期型のインパネでは、メーターフード横の側面に、グレードによりOKモニターを備えた。