ベースマシンは一緒でも経験の差が大きく出ることに驚いた
いっぽう翔馬さんは冒頭で紹介したとおり、ロードスターのプロショップを経営し、鈑金塗装や足まわりを得意としている。ドリフトで走りを楽しんでおり、オリジナルパーツを製作したり、走行会を主催するなど精力的な活動を続けている。
そんな翔馬さんが参戦したのは、東北660 HA36カップ。AE86とロードスターで得たFRの走りとセットアップのノウハウに加え、ドライバーおよびチューナーとしての幅を広げるためにFFでも走ろうと考えた。
そこで注目したのがHA36型スズキ「アルト」だった。中古車が安いうえ年式も新しいのでトラブルが少なく、アフターパーツも豊富に揃っている。そして燃費もいい。自分の練習用として使うのはもちろん、自身の店の代車としても格好の素材である。
HA36カップは車両規則でエアコンを外すことができないため、街乗りを快適にこなせるのも魅力だった。すぐに中古車を手に入れロールケージなどを組み、まずは2023年3月に行われた練習会でシェイクダウン。そして6月の開幕戦で東北660にデビューした。
当然、ライバルも車種は同じで改造範囲も狭くイコールコンディションに限りなく近いが、いざ走らせてみると上位グループとの間には結構なタイム差がある。とくにトップ集団はコーナー進入の姿勢や動きが大きく違い、これが経験値の差なのか、と驚かされたという。今後は予選のような単独でタイムを出す走り、さらにレースの駆け引きを身に付けつつ、FFのデータを蓄積していきたいとのこと。
余談だがレース仕様のHA36アルトを代車として貸し出したところ、意外なほど好評でセカンドカーに購入した人もいるそうだ。ドレスアップとレースの両方を満喫する優馬さんに、ドライバー兼チューナーとして成長を続ける翔馬さん。田中ブラザーズの東北660シリーズにおける活躍を期待したい。