由緒正しきクルマが参加するクラシックカーラリー
毎年、春と秋に開催されている「クラシックジャパンラリー」は、日頃、見かける機会が少ない歴史的名車の走行シーンを楽しむことができるイベントとして有名だ。戦前のブガッティを筆頭に毎回さまざまな稀少車が参戦するが、去る2023年5月19日~21日までの3日間にわたって開催された「クラシックジャパンラリー2023 横浜 Y164」では1957年式メルセデス・ベンツ 「300SLロードスター」が華麗なる走りを披露した。
原点回帰を目指した新型SL
メルセデス・ベンツのラグジュアリー高級スポーツカーであるSLクラスといえば、通算7代目となるニューモデルが登場したことで話題となっている。R232型と呼ばれる新型はMercedes-AMGが開発を担当し、AMG独自のスポーティなDNAにメルセデス・ベンツのデザイン基本思想であるセンシュアル・ピュリティ(官能的純粋)を掛け合わせたエクステリアデザインを採用。まず4気筒エンジン仕様のMercedes-AMG SL43が2022年の秋に日本に導入され、V型8気筒エンジン仕様のMercedes-AMG SL63 4MATIC+が2023年の春に追加設定された。
2シーターだった先代はバリオルーフと呼ばれる電動格納式ハードトップを装備していたが、新型SLは4代目のR129型以来となる電動ソフトトップ&2+2となる使い勝手のいいシートレイアウトを採用。新型SLが目指したものは「モータースポーツ起源のスポーツカー」という原点への回帰と、新しい時代におけるラグジュアリーの融合で、軽い電動ソフトトップは先代までの電動格納式ハードトップ同等の静粛性を確保しながら最大限の軽量化を実現することに大きく貢献した。
新型SLの説明で「モータースポーツ起源のスポーツカー」というキーワードが出てきたのは、初代SLのプロトタイプであるW194型「300SLレーシングカー」が1952年のカレラ・パナメリカーナ・メヒコで優勝し、その市販バージョンとして1954年にW198型「300SLクーペ」がリリースされたからで、オープンモデルの300SLロードスターは1957年に登場した。
SLクラスにはそのような輝かしいヒストリーがあるため、新型SLはW194型300SLレーシングカーのそれをモチーフとした垂直ルーバーを持つAMGパナメリカーナグリルを装備。このパワフルでワイルドなアピアランスのフロントグリルはAMG専用のモノで、ボンネットのパワードームなども歴代SLの伝統を受け継ぐ特徴的なディテールとなっている。インテリアでは、初代300SLロードスターの思想を現代に蘇らせたドライバー重視のコックピットデザインを採用しているのであった。
日本各地から多様なクルマが参戦する「クラシックジャパンラリー」
前述したように、2023年5月19日~21日までの3日間にわたって開催された「クラシックジャパンラリー2023 横浜 Y164」に1957年式メルセデス・ベンツ 300SLロードスターが参戦したが、ウレシイことに先導車としてイベントをサポートしたのがMercedes-AMG SL43だったので、最初のSLと最新のSLの共演を堪能することができた。驚くべきことに今回参戦した300SLロードスターは、オーナーによるとレーシングドライバー界のレジェンドであるスターリング・モスが来日してクラシックラリーにゲストとして参加した際に運転したクルマとのことで、インテリアを確認させてもらったら助手席側のダッシュボードに直筆サインが入っていた。
そのような由緒あるクルマまで登場し、新旧のSLが一堂に会するようなシーンを見られるのも、日本各地から多様なクルマが参戦する「クラシックジャパンラリー」ならではの魅力だといっていい。ちなみに、初代SLの生産台数は、クーペが1400台、ロードスターが1858台だといわれている。
また「クラシックジャパンラリー2023 横浜 Y164」では、ヤナセオーナー限定サイト「YANASE X FIELD」とのコラボレーションが実現。現代車で参加できる「Classic Japan Rally Experience」に2014年式メルセデス・ベンツ SLS AMG GT ファイナルエディションも参戦した。往年の300SLをモチーフとしたこのクルマも走ったことにより、さらに豪華なラインアップとなったのだ。
他ブランドのスーパースポーツカーも愛用しているというSLSオーナーによると、SLSの限定モデルをもう一台所有しているらしく、やはりガルウイングドアがお気に入りポイントとのことだった。SLRマクラーレンまでを含め、歴代のSLシリーズは熱心なファンを獲得しているのだ。
今回の「クラシックジャパンラリー」に参加したSLたちに加え、