先進テクノロジーが注入されていた
フロントにはアニマルガードを取り付け、リアハッチにはスペアタイヤを背負う姿が勇ましい。テインの担当者に聞いたところによると、この時代にドライカーボンをはじめ、チタンやインコネル素材を使ったパーツを多用しているというのだから驚かされる。また電子制御面でも、車体の姿勢を安定させるべく、トラクションコントロールといった機能も搭載しているという。
また、FIA(国際自動車連盟)のレースカテゴリーではグループA(量産車部門)になるので、エンジンは市販モデルと同じく3S-GTE型エンジンをベースにチューニングしてある。インコネル製のストレートマフラーを装着し、最大出力は295ps、最大トルクは42kg-mを発生させる。駆動系については、Hパターンの6速ドグミッションで、プロペラシャフトは当初カーボン製を使用していたが、トラブルが多く最終的にチタン製に交換されていた。
レガシーとして遺すべき1台
泥の中での過酷な戦いを制してきたST185セリカGT-FOURのサファリ・ラリー仕様車。その装備はというと、フロントバンパーに取り付けたネットや、通称シュノーケルと呼ばれるドライカーボン製のインテークシステム、さらに左右サイドミラーに取り付けたウイングライト、そしてOZレーシングのホイールなど、サファリ・ラリー仕様ならでは。そんな武装した姿を見ると、その速さが見た目からでも充分に伝わってくる。
このマシンは見た目だけでなく、走りについても当時の戦闘力を完全に蘇らせているという。むしろ現代の技術が加わったことで、さらにポテンシャルは上がっていると言えるかもしれない。
いずれにしても、このマシンはサスペンションメーカーであるテイン創設者・藤本吉郎氏の熱意によって、再びわれわれが目にすることができたレガシーとも言える特別な1台だ。