日産「GT-R」の究極のGT、Tスペックに試乗
2007年のデビューからたゆまぬ進化を続けてきた日産が誇る「GT-R」。グランドツアラー(GT)とレース(R)という2つのキャラクターに分かれさらに進化しています。今回は最新MY24で空力や足まわりに改良が加えられた「究極のGT」、Tスペックに試乗、横浜から京都までの長距離ドライブで試しました。
GTとRに分けられたキャラクター
日産GT-Rのデビューは2007年秋のことだったから、もうすでに16年近くが経った。その間、ほぼ毎年のように進化してきた(モデルイヤー)。逆にいうと「だからこそ」ロングセラーになれた。もちろん基本設計の高さは言うに及ばず、だ。今乗っても十分に現役という理由はそのふたつがメインであって、結果、世界的な人気に今もなお支えられているというわけだろう。21世紀を代表する国産車、否、世界的な名車であることは間違いない。
筆者は2007年12月の発売と同時に赤いボディカラーのブラックエディションを購入し、最初の車検まで保有していた。重いのに速い(重いから速い)というユニークな性能に心底驚き、さまざまな欠点に目を瞑りつつ日常のアシとして使っていたのだった。
モデルイヤー制ということは、毎年何かしらの変化があって、初期の頃はそのたびに今はなき仙台ハイランドレースウェイで試乗会が催された。ここは一時期、GT-Rの国内開発における拠点だったからだ。
開発責任者が水野和敏氏から田村宏志氏に変わってのち、その開発の形態も進化の方向性もガラリと変わっていく。ユニークな開発スペシャルチームは解散し、他モデルと同じような体制で現在に至るまでその進化に取り組んでいるが、GT-Rそのものはよりわかりやすいふたつのキャラクターに分けられた。名前が示す通り、GT(グランドツアラー)とR(レーシング)の2方向である。
空力と足元に改良を加えたMY24が誕生
初期モデルにもスペックVやニスモによるクラブスポーツパッケージなどが存在したが、とはいえマイナーチェンジ前(MY14以前)のGT-RはあくまでもGTとRを1台で両立するモデルとして開発され続けていた。ところがMY14からはRを担うバリバリのトラック志向グレードであるニスモがいよいよ登場し、スタンダードモデルはというとよりGT色を強めるようになった。わかりやすく文字で表現すれば、ニスモ=「gt-R」であり、スタンダードは「GT-r」、なのだった。
以降、フラッグシップ(日産車最高価格)となったGT-Rニスモのパフォーマンスアップにも目を見張るものがあったが、「GT-r」の進化だって決して止まらなかった。開発陣がいわば究極のGTとして完成させたのがMY22のTスペック。そしてさらに空力や足元に改良を加えたMY24が誕生するに至る。今回はそのMY24版Tスペックを駆って横浜と京都を往復することにした。