2005年にCQモーターズが発売したチョロQ的EV、QVOLT
埼玉県のアリオ上尾で2023年5月21日に開催された、「昭和平成軽自動車大展示会」。その名の通り軽モデルを中心に、約300台ものさまざまなモデルが集合した。今回は2005年に世界9台限定で発売された幻のマイクロEV、CQモーターズ「QVOLT」で参加していたオーナーに直撃した。
鳥山 明氏デザインの世界限定9台
この日の会場で注目を集めていたのが、水口 雪さんが所有する「QVOLT」。このモデルは、CQモーターズ(当時のタカラ子会社)から2005年に世界限定9台で発売された、トヨタ「コムス」ベースのEVモデル(マイクロカー)。1人乗りのピックアップスタイルでかつてのアメリカを思わせるストリートロッドなデザインを、漫画家の鳥山 明氏が手がけたことでも話題になった。発売されると即時に売り切れ、水口さんによると6台の現存が確認されているという。
ちなみに水口さんが所有するQVOLTは、プロモーションやカタログ撮影に使用された1号車で鳥山 明氏の直筆のサインが入ったものだ。
イチから自身でレストア作業し今年ナンバー取得
QVOLTの販売当時、水口さんは新車の状態で購入することはできなかったが、諦めきれずその後18年間も探し続けたという。そしてある倉庫で、ほぼ未使用の状態で発見。オーナーに何度も交渉した末に、手に入れることができたそうだ。
「クルマ関係のつながりである倉庫にお邪魔したときに、奥の方にずっと保管してあったのを見つけて何度もお願いして自分の熱い思いを伝えたところ、“大切にしてくれそうだ”ということで譲っていただきました。20年近く不動で、バッテリーは全てダメ、ゴム関係のタイヤや消耗品もダメだったので、イチからバラして全て組み直しました」
じつは水口さん、このQVOLTの他にもマイクロカーを10台ほど所有するマニアの方で、レストアも自らの手で行っている。その内容は鉛のバッテリーの交換(12V×6個)、パーツ交換・修復などで、同時に鳥山 明氏が所有するモデルと同様のウインカーのクリアレンズ化、LED化、電圧計追加、バッテリーレスキュー装置の装着、セキュリティシステムの追加などを行った後、今年になってナンバーを取得したそうだ。
「ベースは初代のコムスが使われているので、それらの部品はなんとでもなります。そのほかの部品が手に入らないので、探しつつ自分で作りつつという感じですね。作業は趣味で、全部自分でやっています。駐車場だったり、家だったり、そこでバラして仕事の合間や夜中に作業しました」
永久的に保存ができるような状態をキープしたい
18年間探しつづけ、自身でレストアしたQVOLT。実際に所有し走らせてみた感想はいかがなものだろうか?
「もともとコムスの初代は50~60km/hくらいしか出ないので、やはり時速はそのくらいですね。充電は100Vの家庭用コンセントで、走行距離は(バッテリーが影響される)温度によっても違いますが、実質30~40km走ればな、という感じになります。コンビニや買い物など気軽に乗れて、風を感じることができるので楽しいですね。ただ雨が降ると横風で大変なことになりますが。
マイクロカーは、車庫証明・車検不要ですので、維持費の面では楽ですね。あとはもう予備部品を買い集めたりとか、このまま永久的に保存ができるような状態をキープしていきたいですね」