3日目にしてようやく落ち着きを取り戻したAXCR
アジアクロスカントリーラリー2023の前半最終日にしてタイ王国での最後のSSとなる3日目が8月16日(水)に開催された。初日から事故や警察の介入など波乱の展開を見せたが、3日目にしてようやく落ち着いた1日となった。といってもミスコースやトラブルがあり、順位のほうは大きく変動し悲喜こもごもの表情を見せていた。
TOYOTA Gazoo Racingインドネシアがトップ3に
東南アジアを中心に開催されるFIA・FIM公認国際クロスカントリーラリーのひとつであるアジアクロスカントリーラリーは、1996年に初開催。以後毎年8月に、山岳地帯やジャングル、沼地、海岸、砂漠、プランテーション、サーキットなど、アジアの特徴ある地域や路面状況、自然や気候の中で開催されてきた。
これまで開催されてきた国は、タイ、マレーシア、シンガポール、中華人民共和国(雲南省)、ラオス、ベトナム、カンボジア、ミャンマーなど8カ国であるが、毎年コース設定も通過国も変わるラリーレイドとなる。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響による2回の開催中止、そして2022年の開催時期を乾季の11月に変更して開催。そのコロナ禍を経て、2023年大会は、4年ぶりにこれまで同様の開催にこぎつけた。
今回の大会では、2022年に三菱「トライトン」で復活優勝した三菱ラリーアートチームが車両を一新し、3台の新型トライトンで挑んでいる。トヨタ「ハイラックスRevo」を持ち込んだTOYOTA GAZOO Racing タイランドもそのうちの2台の「GR-S プロトモデル」を投入するなど、ワークスチーム感のある一戦となった。
全6日間の競技日程のうち、3日目(総走行距離491.94km)はタイでの最後のSSとなる。ここまでトラブルもあって、タイムを抹消するセッションがあったり、さまざまなことが起きている今回のAXCRだが、スリンからウボンラチャタニに至るSS3(179.63km)では、トヨタ「フォーチュナー」の3台体制を敷くTOYOTA GAZOO Racingインドネシアが速さを見せつけた。
トップタイムをマークしたのは103号車
この日も雨の心配はなく、好天に恵まれ、前日の2日目に続き、トップタイムをマークしたのは103号車の塙郁夫/染宮弘和組(TOYOTA GAZOO RACING INDONESIA/TOYOTA Fortuner/T1D)。2時間27分45秒のタイムでデイトップ。2番手には青木拓磨が乗る105号車(Takuma Aoki/Ittipon Simaraks/Songwut Danphiphattrankoon組、TOYOTA GAZOO RACING INDONESIA/TOYOTA Fortuner/T1D)のタイム2時間32分47秒。3番手には、2時間34分39秒でインドネシア人ペアのTubagus Moerinsyahdi/Jatuporn Burakitpachai組の121号車(TOYOTA GAZOO RACING INDONESIA/TOYOTA Fortuner/T1D)、この車両は少し市販車に近い車両。当初はT2A-Dクラスでの参戦の予定だったが、車両製作の認識の相違があって、T1Dへクラス変更を余儀なくされた1台である。
塙選手は次のようにコメント。
「当初は前日のオーダー順でトップからの出走だったはずなのに、なぜか総合順位での出走に変更になって35番目からの走り出し。とにかく意地になって走ったよ。今日は田んぼの中の狭い道が多くて、まるで日本の山村の軽トラだけが走るような草が生い茂った作業道を走っているみたいだった。一度オーバーランして畑に落ちたけどね」
青木選手にもコメントを伺うと
「今日は雨が降ったらペースが上げられないような、神経を使う滑りやすい路面でした。昨日の後半セクションと同じで狭くて高速で走る設定。前半のセクションではすぐに前走車両に追いついてしまい、でも砂煙もあってプッシュできずにいたらいなくなってしまったので、そこからペースアップ。さらに前走車が出てきて、それに追いついたところでセクションが終了。後半も似たような感じで前走車の後を追う形で最後のところでミスコースをしてしまいまして……」
レース3日目で折り返しを迎えたが、初日のドライブシャフトのトラブル以降、大きなトラブルにも見舞われず「前走車がいたのでプッシュをしてクルマを壊すよりも、と7割近いペースだったがまともに走れた一日だった。これを後半の走りにもつなげていきたい」とも話してくれた。
そして121号車のトゥバグス・アディ・モレンシャディ(TB)選手は、インドネシアでスピードラリーをやっている選手。ダート路で速くてうまく、初参戦の割にはいい走りを見せている。青木選手も「初日は苦労をしていたみたいだけど、棋王はいいペースでついてきたし、いいドライバーです」と評価する。
TOYOTA GAZOO RacingインドネシアはSS3トップ3独占となり、総合順位でも青木号、TB号の順で1-2位となった。
三菱勢では昨年のチャンピオンであるChayapon Yotha/Peerapong Sombutwong組(#101 Team MITSUBISHI RALLIART/MITSUBISHI Triton/T1D)は、後半にミスコースを犯してしまったものの、SS3は10番手(2時間46分24秒)に収まって総合順位4位はキープ。三菱から参戦している日本人ペアの田口勝彦/保井隆宏組(#112 Team MITSUBISHI RALLIART/MITSUBISHI Triton/T1D)は20番手タイムの2時間59分1秒で総合8位となっていた。