FRで自然なドラポジを実現していたのもポイント
また室内の仕上げも丁寧だった。全体のデザインはホンダ ビートとは対照的なオーソドックスなもので、8500rpmからレッドゾーン、12000rpmまで目盛られたタコメーターを中央に据えたメーターパネルをドライバーの眼前に設置。シフトレバーはストローク方向40mm、セレクト幅30mmのショートストロークを採用し、ステアリングコラムにはチルト&テレスコピック機能を備えた。
それとシート表皮にはシュリンクレザー(特殊加工PVC)を採用し、オープンカーらしく耐水性にも配慮しただけでなく、しっとりと落ち着いた風合いが上質な感触を実現していた。
またFRの車両レイアウトにより、フロントホイールの張り出しの影響を受けず、コンパクトなクルマながら自然なドライビングポジションを実現していたことも見逃せない。
磨きこまれた走りの性能も贅沢そのものだった
サスペンションは軽自動車初の4輪ダブルウィッシュボーン。タイヤは専用開発のBSポテンザRE96(165/65R14 78H)を装着していた。軽自動車初のフロントベンチレーテッド4輪ディスクブレーキと大径7インチブレーキブースターも採用し、前後重量配分は51:49である。
エンジンは「アルトワークス」で実績を積んだF6A型3気筒ツインカム12バルブ・インタークーラーターボ(最高出力64ps/最大トルク8.7kgm)をフロントアクスル後方に搭載。トランスミッションにはカプチーノ専用クロスレシオの5速MTが投入された。
エンジンについては1995年5月のマイナーチェンジでオールアルミ製のK6A型へと切り替わり、このときにトルクの向上(10.5kgmに)や3速AT(パワーステアリングも併せて採用)の追加設定などが行われた。
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軽自動車というと、今の時代ではスーパーハイトワゴン系など、ミニマムトランスポーターとして最大限の機能と実用性を持つクルマが主流だ。そんな目線でカプチーノを今になり振り返ると、2人乗りだし、凝ったメカニズムも投入されていたし……と、なんて贅沢でコダワリにあふれたクルマだったのだろうと、少し遠い目になりながら思わせられる。