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日産「R30スカイライン」の人気は衰えず! なぜ6代目は6気筒ではなく4気筒に人気が集中したのかお教えします

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TEXT: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)  PHOTO: 日産自動車

  • R30の走り

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「史上最強のスカイライン」と呼ばれた6代目のR30

2023年8月8日、13代目となるV37型に史上最強のエンジン(420ps/550Nm)を搭載したカスタマイズコンプリート「NISMO」が追加され、久しぶりにその名前が自動車媒体を賑わせた日産「スカイライン」。史上最強と聞くと往年のスカイラインファンが思い出すのが、6代目のR30型だ。2代目以降、6気筒がブランドをけん引していたスカイラインにおいて、唯一4気筒エンジンが主役に躍り出た稀有なモデルであるR30型スカイラインをあらため振り返る。

シリーズ最高峰は変わらず直6エンジンを搭載するGT系

R30型スカイラインのデビューは1981年8月。発売当初、2Lの直6エンジン(L型)を搭載するGTと1.8Lと2Lの4気筒エンジン(当初はZ型、1982年からはCA18に一本化)を搭載する廉価版のTIの2本立て。6気筒と4気筒のボディが共通化されたのもこの6代目からだ。

エンジンは一部改良が施されたものの、基本的にジャパンからのキャリーオーバー。ターボ化で数値的には何とか一線級を保っていたが、さすがに古さは隠せなかった。ちなみにR30シリーズのトップモデルは2LターボのGT-EXエクストラ(後期型はGT-EXパサージュ)で、4気筒のRSは価格は上まわっていたが、あくまでもスポーツグレードであり、そのヒエラルキーはそれ以前と変わっていない。ただ、GT系の存在は希薄になっていたのは確かだ。

GTEXパサージュ

日産もそれは理解していたようで、1978年ごろから次世代を担うV型6気筒(VG)エンジンの開発を始めており、スカイラインも7代目からV6に移行することが計画されていた。その後、櫻井眞一郎氏や伊藤修令氏など旧プリンス派の要望により、直6エンジンの継続が決定。VGのモジュールを使ったRBエンジンの設計がスタートしたのは1982年の頃である。

FJ20エンジンは1世代で終了と決まっていた

とはいえ、時代はエミッション対策が一段落し、よりパフォーマンス志向のエンジンが求められていた。事実トヨタから1981年に2.8L DOHCの5M-G、1982年に2L DOHCの1G-Gがデビューしている。そこで、VGが完成する(結局はRBとなったが)までのつなぎとして、高性能なエンジン(簡単にいえば当時の日産になかったDOHC)が必要だったわけだ。FJ20エンジンもVGとほぼ同時期の1978年からスタートしている。

ただ、事情により潤沢な予算はかけられない。そこで、白羽の矢が立ったのが、「日産工機」で生産終了が予定されていたプリンス設計のH20型直4エンジン。タクシー向けの鋳鉄ブロックで耐久性が高く、製造ラインをそのまま使うことでコストも抑えられることもあり、このエンジンをベースとした高性能エンジンの開発が決まった。

このツインカム4バルブエンジンの素性を簡単に書くと、H20用ブロック(大幅に手を入れられているので別物だが)に初代GT-Rに搭載された名機S20エンジンの基本設計を踏襲したシリンダーヘッドをドッキング。ゆえにエンジンの基本設計としては古いものだった。

開発者が思う存分タクトを振るった高性能ユニット

これにECCS(エンジン集中電子制御システム)やシーケンシャルインジェクションシステムなど最新のマネージメントシステムを投入し、扱いやすさと性能を両立していた。また、当初から少量生産を想定していたため、生産を請け負った日産工機では精度を高めるために手作業の工程も多く、最初期型は熟練工の手によってほぼ手組みで製造されたそうだ。

設計を担当したのは、当時日産自動車株式会社 第2設計部 総括課 主任であった村崎 明氏で、開発責任者の櫻井氏から「1世代限りだから、他社にない飛び抜けた高性能エンジンを好きなように作っていいと言われ、とことん振り切った」とのちに語っている。モータースポーツについてはグループAやシルエットフォーミュラなどサーキットでも活躍したが、開発の軸に置いていたのはラリーフィールド。最終的にはWRC(世界ラリー選手権)で戦うために、排気量もアップさせたFJ24(ダットサン240RS用)まで進化している。

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