ゲームチェンジャーとして生まれて20年
コンチネンタルGTが発表されてちょうど20年。第1号車の車体番号20001からインスピレーションを受けた「コンチネンタルGTスピード」がモントレー・カー・ウイークで展示された。このクルマにコンチネンタルのスピリットがどのように受け継がれているのか? 見てみたいと思う。
初代コンチネンタルGTを思い出してみよう
コンチネンタルGTが誕生して今年でちょうど20年を迎えた。初代コンチネンタルGTは「新たな高級車マーケットを開拓する」という高い志のもと、当時競合車が希薄だった1000万円〜3000万円の日本市場に1980万円という驚きのプライスタグを付け導入された。
フェラーリやランボルギーニに代表される2ドアスポーツカーは数あれど、4人乗りクーペでAWD、しかも540psの最高出力、最高速度は300km/hを超えるスポーツカー並のパフォーマンスを誇るこのモデルは当時とてもユニークなパッケージで瞬く間に世界中の富裕層からの支持を得た。
ベントレーの独走を許さんとばかりに各社このセグメントに参入し、わずか5年後にはコンチネンタルGTの世界市場は7倍にも膨れ上がったのである。
そんなベントレーにもラグジュアリーマーケットにもエポックメイキングだったモデルが、コンチネンタルGTである。
初代にインスパイヤーされた3代目コンチネンタルGTスピードとは?
今回、ベントレーはモントレー・カー・ウィークの一環として開催されたコンチネンタル誕生20周年を祝う集まりに1号車をモチーフにした、たった1台の限定車「コンチネンタルGTスピード」を持ち込み、1号車とともに会場に展示した。
このGTスピードは1号車のエクステリアと同様に「サイプレス」でペイントされ、インテリアも「サドルレザー」と「バーウォールナット」の組み合わせが踏襲されたが、レザーにはスペシャルグリーンの差し色が追加で施され、フェイシアとウェストレールには、オープンポアのダークバーウォールナットとハイグロスのダークバーウォールナットの2種類のウッドのコンビネーションで仕上げられた。
また、トレッドプレートには「20 years of the Continental GT by Bentley Mulliner」と記され、フェイシア、センターコンソール、アウターシルには、2003年と2023年のコンチネンタルGTのアウトラインが描かれている。
コンチネンタルGTの各世代の進化とは?
初代コンチネンタルGTのデザインの起源は1952年のRタイプコンチネンタルに遡る。フロントの低い位置から始まり、ボンネットとドアのショルダーラインに沿って、筋肉質なリアハンチに合流するベントレーの「パワーライン」が特徴的だ。丸目2灯ヘッドランプとメッシュグリルは、1920年代のル・マンで轟音を響かせたレーサーを彷彿とさせる。
2代目は初代のデザインを踏襲し、よりスポーティなデザインに進化した。デザインだけではなく前後のトルク配分もかつての50:50から40:60に変更され、よりスポーティなハンドリングを手に入れた。室内の小物入れを増やすなど実用性も向上したが、経済性・環境性能に配慮したV8モデルを導入したことが大きな話題となった。
3代目はプラットフォームを一新し、W12エンジンも一新され、デュアルクラッチのトランスミッション、3チャンバー・エアサスペンションや48V電動アクティブ・アンチロール・コントロールが導入され、さらにスポーティな走りに磨きがかかった。
大きなグリルに丸目4灯、サイドを走るパワーラインに、力強さの象徴であるリアのハウンチライン、そしてパッケージは初代からきっちりと受け継がれた。創始者W.Oベントレーの「良い車、速い車、クラス最高のクルマを作る」というポリシーはブレることなく、このコンチネンタルシリーズにも生き続け、3代目コンチネンタルGTは紛れもなく唯一無二なグランドツアラーへと昇華した。
AMWノミカタ
このコンチネンタルGTスピードの限定モデルは、イベント会場でアメリカ人コレクターに手渡された。しかしベントレーの特注部門であるマリナーではこのようなビスポークモデルを個人でもオーダーすることができる。電動化に大きく舵を切りつつあるベントレーだが、世界中のベントレーファンが今回のような歴史的モデルをオマージュした素敵なモデルをこれからも作り上げてくれることを楽しみにしている。