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FIA公認初!!「障がい者に夢と希望を!」青木拓磨選手がアジアクロスカントリーラリーで優勝。17年目にしてついにその頂点に

青木拓磨の初優勝のみならず、史上初の同一チーム1-2フィニッシュを達成したTGRインドネシア。内部ではいろいろとあったこともあり、他チーム以上にこの勝利の喜びを爆発させていた

FIA競技史上初となる快挙

2023年8月19日(土)、アジアクロスカントリーラリーは最終日を迎えた。6日間にわたるこのラリーレイド、今回はタイのパッタヤーをスタートしてラオスに入り、最後は世界遺産のワットポーまで、総SS距離950km、総移動距離2000kmにおよぶ壮大なラリーであった。この日は、前日のタイム順ではなく総合順位で各車がスタートした青木拓磨組の105号車は、誰にも抜かれることなく無事にゴール。参戦開始17年目、14回目の挑戦にして初めての優勝を遂げることとなった。それも大会史上初となる同チームによるワン・ツー・フィニッシュを達成した。

無理に攻めることなく確実に走行を続けた

18日も水位の上昇により道路状況の悪化でコース変更となったが、最終日も当初予定されていたフェリーでのメコン川の渡河はなくなり、陸路でスタートポイントまで移動することに。数日前までの雨の影響を受けたラオス国内での競技期間だったが、レースウィークを通していえば好天に恵まれた。

最後の決戦舞台となる51.96kmの「SS6 Champasak」は、これまで200km前後のSSを走破してきた参加者にとってはショートSSといえるだろう。この最終SSでトップタイムを出したのはJaras Jaengkamolkulchai/Sinopong Trairat組の111号車(32分14秒)とMana Pornsiricherd/Kittisak Klinchan組の102号車(33分55秒)のTOYTA GAZOO RacingタイランドのハイラックスRevo2台。さらにここで三菱パジェロの杉本達也/青木孝次組(#120 SRS-OSAKA-WELPORT RALLY TEAM/34分22秒)が3番手で走行を終えた。

この日、先頭でスタートした青木拓磨(Takuma Aoki/Ittipon Simaraks/Songwut Danphiphattrankoon組)の乗る#105 TOYOTA GAZOO RACING INDONESIA(TOYOTA Fortuner/T1D/37分39秒)は無理に攻めることなく確実に走行を続け、先頭を譲ることなく、チームメイトのTubagus Moerinsyahdi/Jatuporn Burakitpachai組(#121 TOYOTA GAZOO RACING INDONESIA/TOYOTA Fortuner/T1D/35分51秒)を引き連れて無事にゴールポイントにたどり着いた。

青木拓磨は、1998年のWGPマシンのテスト中の事故で下半身不随となっており、バイクから転向し、車いすレーサーとして活躍している。アジアクロスカントリーには、2007年大会から参戦を開始。コロナ禍による中止などもあり、以来17年間14回にわたって挑戦を続けてきた。過去最高位は2011年の総合3位だったが、今回ようやく初優勝を遂げることとなった。FIA(国際自動車連盟)公認のクロスカントリーラリーで障がい者が優勝をするのはこれが史上初のこととなる。

レース終了後、青木拓磨は次のようにコメント。

「とにかくあきらめることなく挑戦を続けていけばいつか夢が叶うということを証明できました。今日は言わせてください。障害を負っても、デバイスがあれば、健常者も障がい者も関係ない、インクルーシブ(包括的)な社会に変えていける。

そして『障がいを負ったら弱者』じゃないこと、『障がいを持ったらおしまい』を覆したくてこのラリーを続けてきました。今日の優勝は、ケガをしてしまった人に夢と希望を与えられること、そして一般の人にも認知してもらえる良い機会になったのではないかと思います」

次なる挑戦について青木拓磨に聞くと、「ゼッケン101(ACXRではオート部門の優勝ゼッケンは101となる)をつけて走りたい」と語り、2024年ディフェンディングチャンピオンとしてこの場に戻ってくるつもりであることを宣言した。

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