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マツダ「AZ-1」は平成「ABCトリオ」でマニアックさNo.1。ガルウイングから乗りこむための作法とは?【カタログは語る】

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人

乗り込むためのアクロバティックな「作法」とは

ところでAZ-1が登場したことで、当時の日本の軽自動車にはスポーツカーの「ABCトリオ」が揃い踏みとなった。今から思えば夢のような瞬間だったともいえる。しかも3車3様のコンセプトと個性を打ち出していたことも、自由で豊かな時代だったからこそともいえる。

そんな中でAZ-1の個性も際立つものがあった。今から31年前というと筆者は今の自分の歳の半分以下だった頃。とはいえ別段スポーツ部出身ではなく(だがNAロードスターを愛車にしていた)柔軟体操を日課にしていなかったから、AZ-1の乗り込みが大変だったことをまず思い出す。

まず350mm径の小径ステアリングの上部に左手を置き、次に左足を床に突っ込む。次に高いサイドシルに右手を置き自分の身体を支えながらオシリを低いバケットシート(リクライニング調整はなかった)に落とし、上体の姿勢を注意深く整えた後、最後に残った右足を注意深く曲げながら引き寄せて車内に置く。この「スーパーセブン」並みの乗り降りのアクロバティックな作法は、ABCトリオではマニアックさでダントツだった。そして腕をあげストラップをつかみながらガルウイングドアを閉めた次の瞬間に感じる、室内空間のタイトさも印象に残るものだった。

あろうことか筆者のAZ-1体験はそこまでで、走らせたのは、記憶が正しければたしか神奈川県にあるマツダR&Dの敷地内をグルっと1周したのがせいぜいだったはず。だが、スーパージェッター的な感動(世代限定の表現、ご容赦を)はひとしおだったのは間違いなく、その意味からも夢のある市販車だった。

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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