エンジンはマーレーの開発による6.6LのV型12気筒ターボ
デンマークのハイパーカー・メーカー、ゼンヴォは、2023年8月のモントレー・カー・ウィークにおいて、新型ハイブリッド・ハイパースポーツの「オーロラ」を初公開した。ゼンヴォによれば、このオーロラは同社が開発してきたハイパーカーの中では最も高性能なロードカーとなり、実際の生産は2026年からスタートする見込みだ。
総生産台数は100台
ちなみにオーロラにはRWDの駆動方式でアグレッシブなサーキット走行にフォーカスした「Agil(アジル)」と、快適性と最高速を追求した4WDの「Tur(ター)」という2グレードが設定され、(それぞれデンマーク語で、俊敏、ツーリングを意味する)、各々50台が生産される計画だ。注目の価格は約259万ユーロ(邦貨換算約4億1180万円)。こちらも世界を驚かせる堂々たる数字である。
オーロラのデザインは、基本的なシルエットではいずれのモデルでも共通。ただしアジルには大型のリアウイングをはじめ、さまざまなエアロデバイスが装備されている。一方のターはボディシルエットそのものが持つ美しさが表現された、じつにエレガントなフィニッシュ。数あるハイパーカーの中でも、そのライン構成の美しさはそれだけで多くのファンを刺激するに違いない。
オーロラの核となっているのは、もちろんカーボン製のモノコックタブだ。スペインのマネージング・コンポジット社と共同開発されたもので、タイプ「ZM1」と呼ばれるモジュラー型。重量はわずか120kgしかなく、一方で捻じり剛性は63500Nm/度という驚異的なスペックを誇る。
ちなみにブガッティ「ヴェイロン」に使用されたモノコックタブの同値は60000Nm/度であったから、オーロラのモノコックはそれよりも強く、おそらくは軽量に設計されていると思われる。またゼンヴォによれば、アジルとターとでは、モノコックの設計には若干の違いがあり、今後開発が計画されているハイパーカーにも、ZM1型タブは使用される。
ミッドに搭載されるエンジンは、マーレーの開発による6.6LのV型12気筒クワッドターボ。もちろんこのオーロラのために新開発されたもので、こちらもV型8気筒、あるいはV型6気筒への進化というモジュラー構造を持ち合わせている。
大排気量のマルチシリンダー・エンジンが、世の中から続々と姿を消していく中で、ゼンヴォがV型12気筒エンジンを搭載してみせた意義は大きく、それにはマーレー独自のジェット・インジェクション・システムが大きく貢献している。参考までにその最高出力は1250ps。エンジンは例のモノコックタブにリジッドマウントされる。
それにアジルでは7速トランスミッションとの間に1基の、またターではさらにフロントアクスルに2基のエレクトリック・モーターを追加して、PHEVのシステムを構築するのがオーロラのパワーユニットの概要だ。
エレクトリック・モーターの詳細はまだ明らかにされていないが、最高出力は1基あたり200psを目標としており、したがってアジルは1450ps、ターは1850psの最高出力をトータルで発揮することになる。モーターによる最大航続距離は少なくとも35km、車重は1406kgから1565kgをそれぞれ目標としている。