オラ・ケレニウス会長がEV推進への決意を強調
今回、EQE SUVの発表会に合わせてメルセデス・ベンツグループ取締役会長のオラ・ケレニウス氏が来日し、同社のEV戦略についてスピーチを行った。世界初のEQブランド専売拠点(横浜)がある日本市場では販売ネットワークを通じて何が起きているのかを測定することができ、日本で成功したモデルは世界中でうまくいく、イノベーションの場であると評価。
「高級ブランドとしてマーケットをリードしている私たちは、今後の戦略をゼロエミッションからスタートしました。これからの10年間で脱炭素をさらに推進し、テクノロジーのポートフォリオを刷新していかねばなりません。10年後には、上から下まで電動化されたラインアップを皆さんは見ることになるでしょう」
と、2030年までに全新車販売をBEV化するというメルセデス・ベンツのビジョンを継続して推進していくことを表明した。そして質疑応答で、日本で充電インフラの整備が遅れているのでは? との質問に対してはこのように語った。
「まだスタート地点にあるということで、遅れているとは思っていません。ここから加速させていくことが重要です。メルセデス・ベンツでも充電インフラに投資をしていきますし、政策を決定する人々にも会って対話をしていきます」
同日、発表会の後にケレニウス氏は小池百合子東京都知事を表敬訪問し、メルセデス・ベンツが日本での充電インフラへの投資を決定したことを報告するとともに、脱炭素化という大きな目標を共有していることを確認した。
EVの充電インフラは単に交通の課題にとどまらず、社会全体の電力システムの効率化と並行して推進していくべき課題だ。経済産業省では今年6月にEVと電力システムの統合をテーマとした「EVグリッドワーキンググループ」を発足させ、国産自動車メーカー各社も参加している。
BEVに対してまだ躊躇する人も多いわが国においてEVインフラを拡大するためには、生活インフラとセットになった大きなメリットが生じることで、ブレイクスルーをもたらす可能性がある。今回メルセデス・ベンツのBEVが日本で世界に先駆けてV2H/V2Lを採用したことも、このような状況認識に基づいているものと思われるのだ。