カンザスで「フィールド・オブ・ドリームス」を実現した男
バクスター・スプリングスでは別のいい思い出がある。初めてルート66の全線走破にチャレンジしたとき、「フィールド・オブ・ドリームス」なる看板が目に入った。ケビン・コスナーが主演した同名の映画は観たことがあり、記憶が正しければ舞台はアイオワ州の片田舎だったはず。
戸惑いながらも駐車場にクルマを停めると、人懐っこそうな笑顔の男性が声をかけてくる。当時の英語力ではオーナーなのか管理を任されている人なのか分からなかったが、ともかく「カギを開けるから中も見ていきなよ」と嬉しい言葉をかけていただいた。後で調べたら地元の高校野球で監督をしている方が、自宅の敷地に私財を投じて建設した球場なんだとか。映画に負けず劣らず素晴らしく夢のある話、まさにフィールド・オブ・ドリームスだ。お礼を言いたくてその後も必ず立ち寄っているが、彼と一度も再会できていないのが何とも歯がゆい。
ビジターセンターも美しく整備されている
バクスター・スプリングスの中心部には、カンザス州のルート66ビジターセンターもある。元は1930年に作られたガスステーションで、屋外には美しくレストアした給油機も。オープンしているのは3~11月で運営はすべてボランティア、すぐ近くにあるヘリテージセンターの案内所も兼ねている。
規模は大きくないものの施設は手入れが非常に行き届いており、スタッフのみなさんも超が付くほどのフレンドリーさだ。カンザス州のルート66はわずか21kmという短さだが、誇りと愛着が彼らの一挙手一投足から強く感じられる。
余談だが次にルート66を全線走破するときは、ぜひともカンザス州で一夜を明かしてみたい。実現すればルート66全州で宿泊したことになるのだが、どうも通過するのが昼間ばかりでいまだに未達成のままだ。
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