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伝説のフェラーリF1のジュニアカーはおよそ500万円弱! ニキ・ラウダの「312T2」をそっくそのまま1/2サイズで完コピしました

伝説のフェラーリF1のジュニアカーはおよそ500万円弱! ニキ・ラウダの「312T2」をそっくそのまま1/2サイズで完コピしました

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

ホンモノのクルマが買えてしまう価格の理由とは?

当然のことながら、この1/2スケールモデルカーは、フェラーリ製フラット12気筒エンジンの1/2スケールモデルを動力源とはしていない。その代わりに、はるかにシンプルでメンテナンスが容易なBCC社製2ストローク式60ccエンジンを、オリジナル312T2と同じくリアミッドに搭載。電動スターターと、前進2速と後進1速のギアボックスを組み合わせている。

また、複雑なチューブラーフレームにグラスファイバー製の取り外し可能なボディワーク、手作業で成形されたアルミ製フロント&リアウイングを装備するが、さらに印象的なのは、このジュニアカーには油圧ディスクブレーキも備えた独立サスペンションが4輪に装備されており、フロントタイヤには機能をともなうエアスクープさえ付いていることだろう。

いっぽう、コクピットは大人が乗り込むにはやや狭いスペースしかないものの、312T2と同じデザインのMOMO社製ステアリングホイールとヴェリア・ボレッティ社製のメーターが装備されている。

「展示用としても、レーシングドライバーを志す若者のトレーニング用としても理想的」。RMサザビーズ北米本社が製作した公式WEBカタログでは、そんなうたい文句とともに、3万~4万ドルのエスティメート(推定落札価格)が設定されていた。

ItalyCar 312 T2ジュニアカー

そして8月19日に「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」で行われた競売では、エスティメートに届く3万2400ドル、すなわち日本円換算すれば約470万円で落札されるに至ったのだ。

ItalyCar社の312T2ジュニアカーは、同社が経営破綻する前に5台、そののち2台が残されたパーツを集めて完成したといわれているのだが、残存数は不明。そのため、希少価値はきわめて高い。

さらに、約半世紀も昔に作られたものとは信じがたいほどに本格的なつくり込みが、本物のクルマが買えてしまうほどの高価格に繋がったとみるべきなのだろう。

やはりチルドレンズ・カーの世界は奥が深い……、と感心させられてしまうオークション結果となったのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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