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【限定10台・1億9000万円】ロータスの幻のレーシングカー「タイプ66」が現代の技術で蘇りました

シュミレーター(ドライバーインザループ)を用い、世界中のサーキットでの挙動などをテスト。空力も1000時間以上にわたりCFD(数値流体力学)作業が行われている

GT3マシンに匹敵するレーシングカー

ロータスが1960年代に計画したものの幻に終わったCan-Am参戦マシンが、創業75周年の今年、現代のテクノロジーを活用して蘇った。10台の限定生産となる「タイプ66」のパフォーマンスはGT3マシンに匹敵し、その価格は約1億9000万円以上。ロータスが精魂を注いでつくりあげた「タイプ66」を詳しく見ていこう。

クライブ・チャップマン氏のもつ資料が鍵に

ロータスは2023年8月にアメリカで開催された自動車の祭典、モントレー・カーウィークのプレミアムイベントとなるクエイル・モータースポーツ・ギャザリングにおいて、幻のレーシングカー「タイプ66」を発表した。ロータスの75周年を記念し、10台のみが製作される。なお、価格は100万ポンド(邦貨換算約1億9000万円)以上となるという。

タイプ66は1960年代後半、ロータスの創業者であるコーリン・チャップマンが当時北米で人気を博していたCan-Am(カナディアン-アメリカン チャレンジカップ)に商機を見出し、チーム・ロータスのジェフ・フェリスにCan-Am参戦のためのタイプ66プロジェクトを依頼したことからはじまる。しかし、当時ロータスはF1に注力していたため、タイプ66は設計図とスケールモデルが製作されたところまでで打ち切られている。

今回、大きな役割を果たしたのはクラシック・チーム・ロータスのマネージングディレクターで、コーリン・チャップマンの息子であるクライブ・チャップマン氏。ロータスのアーカイブから見つかった資料に加え、彼が所有していた資料(1/4と1/10スケールの図面)によってタイプ66が実現している。

当時を代表するV8プッシュロッドを搭載

開発チームは当時の図面を基に最新のテクノロジーを用いて再設計、流体解析などのテクノロジーなどを用い現代の基準に適合した空力性能や安全性をオリジナルデザインを活かしつつ実現させている。

ボディにはカーボンを採用。最新技術を活用し空力を向上させており、空気の流れが車体前方からリアウイングの下を通るように設計されたフロントフェンダーによって、オリジナルの設計では到達できないレベルのダウンフォースを発生させる。

エンジンは当時を代表するV8プッシュロッドを搭載、アルミ鍛造クランクなど最新の特注部品で構成されており、最高出力850bhp/8800rpm以上と最大トルク746Nm/7400rpmを発生する(目標値)。ハンドリング最適化のためミッドマウントされ、Can-Amにインスピレーションを得たというエアインテーク「トランペット」が象徴的にエンジン上部に備わっている。

ロータス・アドバンスト・パフォーマンスのエグゼクティブディレクター、サイモン・レーン氏は次のように語っている。

「タイプ66は過去と現在を完璧に融合させています。ドライバーを50年以上前の象徴的なデザイン、サウンド、モータースポーツの純粋な舞台にタイムスリップさせ、21世紀のパフォーマンスと安全性を追加します。これは本当にユニークなプロジェクトであり、ロータスの75周年記念の年に、ロータスから世界中のファンと少数の顧客への完璧な贈り物です」

AMWノミカタ

過去のモデルを現代に蘇らせるのは、英国ブランドの得意技だが、ジャガーやアストンマーティンなどは実在したモデルを忠実に、またはEV化するなどして新たに生み出してきた。今回のタイプ66のプロジェクトは、設計図とスケールモデルのみで打ち切られたモデルを現代に蘇らせたもの。いわば、この世に生まれることのなかったマシンを作ったという点が特筆に値する。このプロジェクトが成功したならば、他のブランドからも同じような幻のクルマがリリースされてくるかもしれない。

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