センターメーターのインパネもスッキリ使いやすい
インパネのデザインもじつにスッキリとしたもの。中央には見逃しようがないサイズのメーターが据えられ、あとはオーディオ(ラジオのプリセットボタンも大きめ)、3つのダイヤルを並べた空調スイッチなどがじつに判りやすく並ぶ。
左右方向にややウェーヴをかけたデザインは内装色が明るいベージュの場合、少し女子向けの雰囲気がなくはなかった。だが、大きな「単位」でデザインされたインパネは、チマチマとした溝やディテールがなく、見た目にもスッキリしていたし、ウエスで一気呵成に拭き取れば掃除も完了するなど、機能も踏まえたデザインでもあった。なおフロントドアのスピーカーグリルには、遊び心として8分音符があしらってあった。
ちなみに改めてカタログに目を通すと、シートの色はボディカラーに合わせて全7色の組み合わせとじつに豊富な用意があった。ボディカラーのバリエーションも全8色で、パステル調の人に優しい色使いだったのもエッセらしさを表現したものだった。
圧倒的なコスパと低燃費エンジンも自慢だった
ところでエッセはシンプルでサッパリとした持ち味が特徴だったが、発表当時(実際の発表展示会は2006年1月だったようだ)の価格設定は65~101万円(消費税抜)と、驚くほど手頃な商品に仕上げられていた。発表当時に試乗したクルマの筆者のメモを見ると、L・2WDの装着タイヤはHANKOOKと記してあり、ドアガラスは中国製といったメモも残っていた。
燃費26.0km/L(5速MT)の新開発KF-VE型ツインカムDVVT・3気筒12バルブ660ccエンジンは発表当時、軽ガソリン車トップレベルをうたっており、低排出ガス、低燃費、そして低価格を達成。実質的にもスマートなクルマになっていたところもポイントだった。
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今や軽自動車は乗用車の全販売台数の4割を占め、さらにその半数以上はスーパーハイト系だという。たしかにスーパーハイト系は一度その便利さを味わうとなかなか手放せないのも本当のところかもしれない。だが、エッセのような、日常使いに気ままに乗りこなせる気の利いたセダンタイプの軽が今は少ないのは少々寂しいところ。だからチャーミングな外国製クラシックカーとこのエッセの2台持ちを今も実践中のAMW編集部Tさんのような生活スタイルは、筆者もいいなぁと思う。