優勝は#1京都工芸繊維大学
2023年9月2日(土)、静岡県小笠山総合運動公園エコパで8月28日(月)から開催されていた「学生フォーミュラ日本大会2023」が最終日を迎えた。学生フォーミュラは、学生たちが自ら設計した小型フォーミュラの設計と製作を行い、出来上がったマシンを一堂に集め、用意されたコースでその走行性能を実証する教育競技会である。
見ごたえのあるタイムバトルに会場は大盛り上がり
車両の出来だけでなく、そのマシンを使ったビジネスの構想提案などまで行うもので、1981年にアメリカで開催された「Formula SAE」がその始まりとなる。現在では世界各国で同一のルールで開催されており、この日本大会にも海外からの参戦もある。
8月28日(月)にスタートした日本大会では、まず車両を持ち込んでの車検が行われた。車検を通過したチームから動的審査に進んでいく。4日目となる8月31日(木)は、エコパのP9駐車場で「オートクロス」(直線、ターン、スラロームやシケインを組み合わせた1周800mの複合コースでの走行タイム)、「アクセラレーション」(ゼロスタートからの75mの走行タイム)、「スキッドパッド」(左旋回2周と右旋回2周の周回タイム)といった動的審査を経て、5日目から同じP9駐車場で「エンデュランス」(1周約1000mのコースを2人のドライバーで10周ずつ走行する)となる。
「オートクロス」の結果で「エンデュランス」の出走順が決まり、9月1日(金)のグループBに「オートクロス」のランク17位から35位の16台がその順位順に走行。そして9月2日(土)の早朝にまずEVクラス(今回は「オートクロス」21位、24位、28位に入った3台)、そしてその後グループAの16台が順位の低い順に走行することとなった。
アウトラップから好タイムを連発するバトルに
昼の休憩をはさんで、残りは「FINAL 6」と呼ぶ、「オートクロス」で好成績を出した上位6台による最後の「エンデュランス」となった。2台ずつが走行するファイナル6では、順位5・6位の#14岐阜大学「岐阜大学フォーミュラレーシング」と#3日本自動車大学校「Formula Factory NATS」の2台の走行からスタート。そして3位#4千葉大学「千葉大学フォーミュラプロジェクト」と4位の#8名城大学「Meijo Racing Team」、そして最後に1位と2位の#1京都工芸繊維大学「Grandelfino」、#7工学院大学「工学院レーシングチーム」がコースインした。
とくに最後の2台の対決は双方がアウトラップから好タイムを連発するバトルとなった。つねにラップタイムを揃えるように走る#7工学院大学に対し、ペースを抑えていく#1京都工芸繊維大学と双方の戦略は異なるものとなった。それでも見ごたえのある2台の走行に、2019年以来、4年ぶりに一般観戦が可能になり、多くの来場者がぐるりと取り囲んだコースサイドは、その2台の走りにくぎ付けであった。
しかしドライバー交代をして、この最後の走行で先行する#7工学院のセカンドドライバーは、なんとチェッカーフラッグを見逃しもう1周を走行してしまい、ブラックフラッグが振られることに。ここで大きくポイントを落とすこととなってしまう。このファイナル6最後の走行での審議に時間がかかり、この日の夕方予定されていた表彰式は順延されることに。正式結果は9月5日にようやく出された。
優勝は#1京都工芸繊維大学、総合2位には#3日本自動車大学校、3位には#14岐阜大学という結果。京都工芸繊維大学にとっては2016-17年の連覇に続く2回目の連覇となった。2022年自動車大学校として過去最高位となる3位を獲得した日本自動車大学校はさらにその記録を伸ばすこととなった。また岐阜大学も過去最高位を獲得した。
学生フォーミュラ日本大会、次回は2024年9月上旬、今回の会場となったエコパから、初開催となるAichi Sky Expo(愛知県国際展示場)に会場を移しての開催となる。第22回学生フォーミュラ日本大会の開催概要ならびに大会規則は2023年12月中旬に発表される予定である。