旧車オーナーならずとも知っておきたい非常時の対策
オーバーヒートと聞いてなにをイメージするだろうか? クルマ好きなら旧車を思い出すかもしれないし、最近のクルマは無縁とも思うかもしれない。いずれにしても身近でないのは確かだろう。実際に旧車というと、冷却系統の詰まりによる循環不良やファンの不具合、さらに根本的なラジエターの容量不足などのイメージはある。
10年を超えたクルマだとオーバーヒートは無縁ではない
それは間違っていないものの、ちょっと古めのクルマだとオーバーヒートになる可能性は十分にあるので注意が必要だ。さすがにここ数年のモデルは冷却水が16年ぐらい交換不要のスーパーLLCが採用されているし、ラジエターも容量は十分。内部にサビが発生する原因のひとつだったエンジンブロックの素材は、サビが出ないアルミ合金だったりするのでオーバーヒートの不安はほぼない。
問題は10年を超えたぐらいの年式で、いまだに現役が多いもののオーバーヒートするときはあっさりしてしまう。冷却水はスーパーLLCでないこともあるし、オイル交換などを怠るという間接的な原因がジワジワとむしばんでいることも考えられる。そのほか、冷却系だとホース類の劣化、ラジエターの損傷、サーモスタットや水温計の不具合なども多発はしないが、なくはない。しかも最近は、財布が厳しいのか、点検をマメにする人も減ってきているのでなおさらだ。
まずはエンジンをかけたまま電動ファンの確認を
原因はどうであれ、もし万が一、オーバーヒートが発生したらどうするか。そもそもオーバーヒートするとどういった症状になるかというと、まずは水温計が上がったり、警告灯が点灯する。ボンネットのすき間から水蒸気が上がることもあるし、エンジンの力が急になくなって、カリカリというような音がすることもあるなど、どういう症状でも異常事態であることはすぐにわかるはず。
走行中であれば状況にもよるが可能なら路肩にまずは止める。ここでエンジンも切らずに、まずはラジエターを冷やしている電動ファンが回っているかを確認する。車外に出れば音がしているのでわかるだろう。
慌ててボンネットを開けるのはご法度。冷却水が吹き出ていると火傷する可能性があるので、まずは音で判断が基本だ。逆にファンの音がしないなら、当然、エンジンは切る。水温計も同時に確認して、ファンが回っていてもグングンと上がっていくなら、エンジンは切ったほうがいいだろう。
無理して自走せずレスキューを呼ぼう
最初の関門はエンジンを切るか切らないかにあるが、そこからはむやみに手を出さないほうがよくて、レスキューを呼んで自走はしないほうがいい。オーバーヒートする前で、冷却水が少しずつ漏れている程度であれば継ぎ足しながら走行するというのはありえるかもしれないが、すでにオーバーヒートとしているということは重大事態が確実に発生しているわけで、無理に自走する意味もメリットもない。
しかも、オーバーヒートとはエンジンが高温になるという異常なので、最悪の場合、エンジンはオシャカの可能性もあるし、軽度でもオーバーホールが必要になることも。オーバーヒートしても、たとえばホースの劣化による冷却水不足やファンの故障など、初期で気がついて対応して軽度で済めば不具合箇所の修理や交換で事なきを得ることも多い。
最近のクルマはメンテナンスフリーが進んでいるのでオーバーヒートへの意識が薄くて慢心しやすいが、猛暑が当たり前の時代でもあるだけに、もしかしたらするのかも、と頭の片隅でもいいので意識をしていたほうがいい。そうすれば万が一の対応も素早くできるというものだ。