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軽トラの屋根がボートになった! ヒントはキャブコンのキャンピングカーでした

軽トラをキャブコンに仕立てたように見えるが、実はルーフ部分はボートになっている

軽トラのルーフがボートになりました

軽トラの屋根が、手漕ぎボードに……。こんな奇想天外な発想を実際に「専用ボート型コンテナユニット」として作ってしまったのが造船のプロ「タカギ/エフ・アール・ピー・クラフト」。海を愛し、釣りを愛するフィッシャーマンに「刺さる」独自のスタイル軽トラックを紹介します。

ヒントはキャブコンのキャンピングカー

「面白い軽トラを作って楽しむ人がいるものだ」と感心せずにはいられない一台を紹介しよう。軽トラの屋根にボートを載せているのではない。軽トラ専用に設計した屋根がボートになっているのだ。つまり、コンテナボート搭載の軽トラなのである。

この発明的な軽トラを作ったのは、伊豆半島南西部で造船業を営むタカギ/エフ・アール・ピー・クラフト(旧高木造船所)だ。代表の高木さんは、江戸時代から続く造船業の家に生まれた4代目で、創業者である治助さんが建造した「八幡丸」は、静岡県下最初の民間動力漁船として歴史に名を刻み、高木造船所は地元の名家としても知られる。

そんな家系も影響してか、何事にもチャレンジ精神旺盛な高木さん。仕事の足として使う軽トラを運転しているとき、キャンピングカーとすれ違ってふと思いついたという。フロントルーフの上にバンクベッドと呼ばれる先端が突き出したキャブコンの姿を見て「まるで船を載せているみたいだな」と。

実際には、そう見えない人も多いだろうが、船作り職人の高木さんの目には、その形は船にしか見えなかった。

そこで、船を作る時と同様に軽量で加工しやすいFRPを使い、まずは軽トラの荷台に合わせたコンテナを作ってみることに。すると「屋根を分離できる船にしたら面白いかも!?」と思い浮かんだ。アイデアマンの彼は早速、設計から製作へと段階を進めた。

FRP製のボートはひとりで上下架できる

実際の製作は、船作りのプロが本気になればそれほど難しくなかった。しかも実際に形にしてみると、これが思った以上に便利。

「普段は、荷物運搬用のコンテナや軽トラキャンパーの代用として使えて、車中泊も楽しめます。災害時にはレスキューボートとして活躍し、コンテナ部は移動型の避難所としても活用できます」

と高木さんは話す。実は製作後にこのコンセプトを持って実用新案登録を申請、見事に受理されたという。

快適に過ごせるようにコンテナ壁内には断熱加工が施され、荷物の出し入れや、明かり取りにも使える窓も各壁面に備える。オーナーの好みに応じて内装のカスタマイズもできる。

屋根とボートを降ろすと室内が丸見えになってしまうが、そこにはFRP製の梁があるので、分離後はシートを張ることで屋根代わりになる構造だ。

また、ボートは12Vの電動ウインチを使って上下架するシステムなので、ひとりでも降ろせる。実際にその作業工程を見せてもらうと、とても簡単。降ろしたボートで実際に海へ乗り出すパフォーマンスを高木さんは披露してくれた。

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