数々の国産スポーツに乗ってきたサーキット派が手に入れたNSX
2023年8月11日に富士スピードウェイで行われた「FUELFEST JAPAN TOKYO」には2000台を超える多彩なカスタムカーたちが一堂に会した。映画『ワイルド・スピード』シリーズと縁の深いこのイベントではアメリカンなカスタマイズがされた車両も多かったが、もちろん日本的なチューニングカーも多数。今回は、オリジナルの良さを生かした状態の良いホンダ初代「NSX」のオーナーに話を聞いてみた。
巡りあった極上の低走行NSX
このNSXのオーナーである“深銀の弾丸”さん。じつはNSXは手元に来てからまだ2カ月という納車ホヤホヤの状態だ。そんな深銀の弾丸さんは以前はレクサス「IS F」でサーキット走行を楽しんでいたそうだが、知人のショップから素性が知れていて状態の良い個体が出てきたということで、このNSXを購入したそう。1991年式のベースグレードで、走行距離は現在4万3000kmとのことで、よくそんな個体があったと驚かされる。
このように聞くと今後の値上がりを見据え投機対象としてNSXを購入したのかとも思ってしまうが、深銀の弾丸さんは違う。これまでと同様にこのNSXでサーキット走行を楽しむ予定なんだそうだ。2カ月ですでに2000kmを走っているそうだから、あくまでもNSXでとことん走りを楽しみたいという熱意がうかがわれる。
このNSXの前に所有していたのはIS Fだが、その前にもさまざまなクルマでサーキット走行を楽しんできており、サーキット走行歴で言えば約20年にも及ぶそうだ。その車歴の中には「R34 GT-R」や「S15シルビア」、「80スープラ」などもあった。いわば国産スポーツの黄金期を楽しんできたわけだが、そんな彼が選んだ最新の選択肢が、価格的にもステイタス的にも国産スポーツ黄金期モデルたちの頂点に君臨したNSXであることは感慨深い。
短期間ですでに高い完成度のカスタマイズ
購入当初はエキゾーストマニホールド以外ノーマルだった深銀の弾丸さんのNSX。しかし、納車からわずか2カ月とは思えないさまざまな変更が施されていた。そしてその中には激レアパーツも含まれているのだから、より驚かされる。
無限製のエキゾーストマニホールドに組み合わされるのはGT-ONE製マフラー、またコンピュータも変更しており、ホイールはこの時代のクルマの定番とも言えるBBSのLMが組み合わされている。
インテリアを見てみるとサーキット走行を想定してBRIDE製のフルバケシートが装着されているのがやる気を感じる。また、NSXオーナーが見れば分かるレア&状態極上のパーツが顔を覗かせる。まずステアリングには、今となっては希少な純正パーツとなったタイプS純正ステアリングが装着されている。そしてセンターのコンソールボックス、NSXのロゴがキレイに残っている純正コンソールボックスも今や希少なアイテムとなっているそうだ。
サーキット走行を想定して進化させていく予定
次なるカスタマイズの予定を聞くと足まわりの変更と、熱対策でラジエターの容量アップを考えているという。どちらもサーキット派らしい回答だ。その中でも足まわりは選択を迷っているようで、モデューロ製のアイテムを装着するか社外の車高調を装着するか、どちらにするか検討中とのこと。
また、会話の中で「○○のサーキットで○秒台に入れたい!」、「一緒に走っている仲間はターボカーが多いので、簡単にタイムで抜かされてしまうのが悔しい」とも語っていた。2カ月でここまで仕上げた深銀の弾丸さんのことだから、きっと1年も経たない間にガンガンサーキットを走れる仕様へと進化しているのではないだろうか。